2010 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性有機化合物の低濃度発生源におけるモニタリング方法と除去特性および評価
Project/Area Number |
22550142
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
川本 克也 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会・廃棄物研究センター, 室長 (50257325)
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Keywords | 揮発性有機化合物(VOC) / 総括測定 / 廃プラスチック圧縮工程 / 多環芳香族化合物(PAH) / 光触媒分解 / 活性炭吸着 / 拡散予測 / バックグラウンド汚染 |
Research Abstract |
サブテーマ1として、総括的な検出方法に基づく迅速・簡便なモニタリング手法開発の基礎検討を行った。模擬調製した揮発性有機化合物(VOC)低濃度含有ガスを吸着剤によって濃縮後、加熱脱離によって総括検出信号を得る方法の適用性を試験し、可能であることを確認した。この後、最適な吸着剤の選択と脱離条件等の最適設定に向けた方法の確立に移行する予定である。この方法を確立できれば、これらの施設における環境保全上の管理機能は格段に向上し、この指標をモニタリング管理すれば、処理設備を良好に維持し、化学物質による環境への影響を十分に低いリスクで制御できると想定される。 サブテーマ2として、新設された廃プラスチック類中間処理施設において、圧縮梱包工程からの排気に含まれるVOCおよび多環芳香族化合物(PAH)等について濃度を測定した。さらに、新規の排気処理設備として設けられた光触媒分解装置および活性炭吸着装置からなる処理プロセスでの同物質群の除去・挙動特性を測定・評価した。さらに、周辺環境の敷地境界において測定を行い、施設の排気口(活性炭処理後)の測定値に基づいた拡散計算予測値との比較評価を行った。その結果、VOCのうち発生源ではアセトン、トルエン、アルデヒド類が比較的高濃度(数十μg/m^3)であったほか、アルデヒド類等では光触媒装置の通過により濃度が増加する現象がみられた。PAHはナフタレンがもっとも高濃度(数μg/m^3)であり、また処理工程でよく低減されるという対照的な特性が見出された。以上によって、汚染物質排出に係る特性を明らかにし、光触媒法の処理特性と重要な課題を明らかにすることによって初年度の目標を達成した。なお、周辺環境中のVOCはほとんどがバックグラウンド汚染に起因することを計算によって明らかにした。
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