2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境物質の起源解明にむけた極微量多元素自動化学分離技術の開発
Project/Area Number |
22550143
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮本 ユタカ 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (60219821)
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Keywords | イオン交換分離法 / 極微量分析 / 環境試料 / ウラン / 鉛 / ランタノイド / トリウム |
Research Abstract |
本研究の目的は、極微量でも簡単な操作で多元素同時化学分離が可能な分離技術を確立することである。特に環境を汚染する大気浮遊じん等の環境物質の放出起源を解明する手段として有効な鉛、ウラン、トリウム、希土類元素に注目し、正確な定量・同位体比分析に供する試料を調製できる分離法を開発する。これにより今まで熟練した技術が必要であった煩雑な極微量化学分離処理を簡略化することができ、極微量分析技術の向上の面で学術分野に直接貢献できる。研究代表者がこれまでの研究によって開発した陰イオン交換樹脂を用いた逐次分離法を本目的に合うように小型化・自動化し、実試料を分離・分析して開発した技術の実用性を評価するまでを目標とする。 本年度(22年度)は研究計画に基づき、簡単な分離システムを組み立ててイオン交換樹脂の粒径、カラムサイズ、流速などイオン交換分離条件を最適化した。濃度既知のICP-MS用校正溶液を試料として用い、既存のICP-MSで分離した溶液の元素濃度を分析することにより回収率や各元素の分離度を評価した。また、分離条件の最適化と併行して圧縮空気と切換バルブを用いた分離システムを構築するため、機器制御ソフトウェアを購入した。 今までの研究成果から得られている溶離液組成の条件を基に、カラム容量が200~300μLの小さなカラムを自作し、カラム樹脂の粒径や流速などの条件を変えて回収率や分解能を調べた。粒径および流速を小さくするにしたがって分解能は向上したが、分離にかかる時間が大幅に増加した。検討した研究成果は、日本放射化学討論会および微量分析技術に関する国際会議(ISEAC)で発表し、研究者に広く公開した。
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