2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550144
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
水野 卓巳 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (10416290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 正稔 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (70416296)
中井 猛夫 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (60443545)
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Keywords | グリセリン / ポリカーボネート / カルボニル化反応 / 一酸化炭素 / セレン / 酸化反応 / バイオディーゼル燃料 / グリセロールカーボネート |
Research Abstract |
グリセリンは、脂肪酸や石けんの製造工程で副生し、さらにエコ燃料使用拡大の中で、天然油脂を原料とするバイオディーゼル燃料(BDF)の生産の発展に伴って、新しい発生源が加わっている。したがって、副生するグリセリンが余り気味となり、産業廃棄物化することが懸念される事態となっている。 本研究は、グリセリンを一酸化炭素によるカルボニル化反応によって、環状のカーボネートに変換し、需要の伸びているエンジニアリングプラスチック、ポリカーボネートの原料として利用する新しい戦略を提案するものである。さらに、旭化成ポリカーボネート法において、副生するエチレングリコールを、ポリカーボネート原料へ変換する新しい手法に応用可能である。 本研究開発において、現在、開発を進めている一酸化炭素を利用した種々のアルコール類のカルボニル化反応を応用して、一酸化炭素によるカルボニル化反応と酸化剤による酸化反応を組み合わせて、容易にグリセリンを環状カーボネートに変換する新しい合成反応を開発することを計画した。既に、グリセリンからの一酸化炭素・硫黄によるカルボニル化反応による環状カーボネート合成も研究を進めており、今年度、この反応をセレン触媒による反応に発展させた。すなわち、常温・常圧の温和な条件下、セレン触媒・一酸化炭素によるカルボニル化反応と酸素による酸化反応によって、グリセリンを環状カーボネートとし、これを原料としたポリカーボネート製造法が開拓された。 本年度は以下の点を中心に研究を進めた。 1)セレン触媒によるカルボニル化反応による環状カーボネート合成の収率の向上 2)反応条件のマイルド化(常温常圧条件)3)酸化条件の改良(酸素酸化)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、グリセリンを一酸化炭素と硫黄あるいは、セレンでカルボニル化して、グリセロールカーボネートを合成する方法を確立しているため、研究の達成度はおおむね順調を評価している。ただし、収率や反応条件の面で改善の余地も有している。
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Strategy for Future Research Activity |
グリセリンを一酸化炭素とセレンでカルボニル化して、グリセロールカーボネートを合成する方法を開発したが、セレンが触媒量で働かなければ、実用化が難しくなる。そこで、最終年度は、触媒量のセレンを用いたカルボニル化反応に挑戦する。
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Research Products
(15 results)