2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブルー銅蛋白質の電子状態を制御する弱い相互作用に関する研究
Project/Area Number |
22550145
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高妻 孝光 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (50215183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 昌喜 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10359549)
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Keywords | ブルー銅タンパク質 / 弱い相互作用 / シュウドアズリン / X線結晶構造解析 / ラマンスペクトル |
Research Abstract |
蛋白質やDNAのような生体分子における、弱い相互作用の理解は、蛋白質の構造構築原理や機能、ならびにダイナミクスを解明する上で重要である。特に、酸化還元に関わる電子伝達蛋白質や酵素では、弱い相互作用によって、電子状態が変化し、反応の制御が行われている。近年、フェニルアラニン同士のスタッキング相互作用を導入することによりα-ヘリックス構造が安定化するとの報告や、カチオン-π相互作用についての報告が増えつつあり、蛋白質における弱い相互作用の重要性が更に認識されつつある。 平成22年度においては、(1)リモートサイトにおける弱い相互作用の効果、(2)特異的に弱い相互作用を導入したシュウドアズリンミュータントのX線結晶構造解析、(3)可視共鳴ラマンスペクトル、電子スピン共鳴スペクトルによる銅蛋白質の活性中心構造の検討、紫外共鳴ラマンスペクトルによる弱い相互作用の検出と機能解析、(5)K吸収端およびL吸収端X線吸収スペクトルによる弱い相互作用の効果の検討を行なう事を計画し、野生型シュウドアズリンの高分解能X線結晶構造解析から、電子スピン共鳴スペクトルにおいて見いだされた、Axial-Rhombicの構造が混合した状態を持つ事が明らかとなった。また、K吸収端、L吸収端X線吸収スペクトルの結果も、シュウドアズリンにおける2つの状態を指示する結果を得た。さらに、紫外共鳴ラマンスペクトル、可視共鳴ラマンスペクトルの結果も、シュウドアズリンの活性中心における弱い相互作用が、その電子状態を変化させる事を見いだした。また、活性中心近傍のみならず、リモートサイトにおける弱い相互作用によって活性中心構造の電子状態が影響を受ける事が判明した。
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