2010 Fiscal Year Annual Research Report
センサーキナーゼを利用する新しいバイオセンシング機構の構築
Project/Area Number |
22550149
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 洋 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (00283151)
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Keywords | シグナル変換 / バイオセンシング / センサーキナーゼ / アズリン / チトクロムc |
Research Abstract |
22年度の研究では、電子伝達タンパク質アズリンの銅イオン近傍ヘキナーゼ結合部位を、また電子伝達経路上のアミノ酸残基へ電極固定部位を選択的導入することに成功した。化学修飾を施したアズリンの炭素電極への固定化についても、22年度の研究において実現しており、電極表面においてアズリン分子が高度に配向した状態で化学吸着されていることを示すデータを得ている。さらに、アズリンで修飾された電極では、アズリン上のセンサーキナーゼ結合部位で生じる化学変化に対応して、銅イオンの酸化還元電位が変化することを確認している。この結果は、センサーキナーゼの活性変化が、アズリン銅の酸化還元電位の変化として計測できる可能性を示すものである。本研究では、センサーキナーゼのセンサー機能(キナーゼ活性の変化)を直接、電気的なシグナルへと変換することを目的としている。22年度の研究で実現した化学修飾アズリンは、センサーキナーゼの活性変化を電極において電流、電位の変化として計測ためのシグナル変換器としての役割を担うよう設計しており、本研究において核となる構成要素である。したがって、これまでのところ研究は、おおよそ計画通りに進展しているといえる。ただし、今回用いたセンサーキナーゼ(青色光センサーキナーゼ,LovK)は、22年度の研究で設計、合成したキナーゼ結合部位に対して、ほとんど結合性を示さなかった。その原因を検証したところ、キナーゼが結合するアデノシン三リン酸疑似基質部位をアズリンをつなぐためのリンカー構造が柔軟なポリエーテル構造であることに原因のあることが明らかとなってきた。そこで、23年度の研究では、リンカー部分に適度な柔軟性と剛直性を備えたオリゴペプチドを用いたキナーゼ活性部位を設計、合成し、キナーゼとの動的な結合・解離の実現を目指す。
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Research Products
(8 results)