2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550150
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 俊樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70171775)
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Keywords | デノボデザイン / コイルドコイル構造 / 金属イオン結合タンパク質 / 金属イオン配位構造 |
Research Abstract |
スルオキシドジスムターゼを目指したタンパク質設計では、昨年度に三本鎖ヘリックスバンドル構造中に入れた銅イオンが、興味あることに天然のSOD中の銅イオンと類似の配位構造を持っていた。そこで、このタンパク質のSOD活性を測定した所、SOD機能は持っていたが天然のSODの活性に比べ約1/1000であった。このことは、歪んだ銅イオンの構造だけでは天然の活性が出せないことを意味している。より活性の向上にはさらに亜鉛イオンの配位、活性酸素の捕捉のアルギニンを配置する必要がある。そのために、四本鎖ヘリックスバンドル構造を作成した。このタンパク質でも中に4つのヒスチジンを配置したところ銅イオンを結合させることができた。 パープル銅タンパク質の設計はブルー銅タンパク質の構造を元に銅イオンの配位場所二カ所を近接に設計した。銅イオンの配位場所として2種類考え、これらのタンパク質を大腸菌で発現させ単離した。UV-vis測定からどちらも2つの銅イオンが結合することが示唆された。特に1つのタンパク質は紫色を呈した。UV-vis測定でも天然のパープル銅タンパク質と同じ吸収スペクトルを示した。さらにJob'sプロットからも2つの銅イオンの結合が確認された。EPRスペクトルを測定したところ、天然のパープル銅タンパク質と同じスペクトルを与えた。また。このスペクトルには温度依存性があり、このことは2つの銅イオンが近接して存在していることを示している。これらの結果は、パープル銅タンパク質の設計に始めて成功したことを示している。さらにより詳細な構造解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スルオキシドジスムターゼを目指したタンパク質設計では、活性は弱いが機能を有するタンパク質が構築できた。パープル銅タンパク質の設計では、実際に銅イオンの結合で紫色を呈し、分光学的分析でも天然と同じ性質を示すタンパク質の構築に成功した。これは初めての例であり、このタンパク質については計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スルオキシドジスムターゼを目指したタンパク質設計では、活性が低かった。より高い活性を目指して、銅イオンと亜鉛イオンの両方が入る設計とアルギニンを銅イオンの近くに来るように設計する。 パープル銅タンパク質の設計では、予定以上に進んでいるので今後は詳細な構造を調べる。そのためにさらに変異体の作成やX線などを利用した方法を用いる。
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