2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550154
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹中 繁織 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60188208)
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Keywords | FRET / G-カルテット / オリゴヌクレオチド / カリウムイオン / 蛍光イメージング / 4本鎖 / 細胞 / ペプチド |
Research Abstract |
細胞内カリウムイオン(K+)の蛍光イメージングは、アポトーシス誘導のメカニズムの解明だけでなく、Kチャネルの異常によって起こる不整脈などの病気の治療法開発のための重要な知見を与える。申請者らは4本鎖構造が形成可能なグアニン(G)-リッチオリゴヌクレオチドの両末端にFRET可能な色素であるFAMとTAMRAを導入することによりK+蛍光試薬PSOの開発に世界に先駆けて成功した。しかし予備的実験では導入された細胞の73%が細胞死を示した。本研究では、K+イオンの選択性を保持したまま細胞毒性が軽減される検出試薬への改良が目的である。具体的にはペプチドにビオチンとTAMPAを修飾し、FAM修飾オリゴヌクレオチドとのコンジュゲーションを行う。さらに、収率向上と高性能K+蛍光イメージング試薬を目指してペプチド部のアミノ酸配列や長さの異なる試薬を種々合成する。当該年度では、以下の3点について検討を行った。(1)ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを利用した高性能PSO試薬の設計及び合成。ビオチンとTAMRAを修飾したペプチドとFAMを修飾したオリゴヌクレオチドを連結させることでPSO誘導体の効率的な合成を達成した。合成したPSO誘導体は、FAMとTAMRAの色素間距離がFRET効率に大きく影響を及ぼすのに加え、これら色素が連結されているオリゴヌクレオチドの核酸塩基との相互作用による消光過程が含まれることが明らかとなったが、たんぱく質との連結により、これを回避できることが示された。(2)新規合成PSOのK+に対する蛍光イメージングの性能評価。新規合成PSOの性能は、K+添加に伴う円二色性(CD)スペクトル変化、蛍光スペクトル測定により評価した。得られた結果から解離定数Kdを算出することができた。(3)細胞内K+の蛍光イメージング試薬としての新規合成PSOの評価。予備的段階ではあるが、アポーシス誘導剤添加に伴う蛍光の時空間イメージングに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
たんぱく質上に固定化することによってK/Na選択性の予想以上の向上と細胞への導入に成功した。当初の予定は次年度から発展させる内容であったが前倒しで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きPSO試薬の改良と細胞に用いる条件の最適化を行う。現在のところ細胞適用における大きな問題点はないが、試薬を作用させる時間が若干長いのでこれを短縮化することができればより有益な試薬へ発展できるものと期待している。
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