2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子配置制御による高原子価鉄ポルフィリン錯体の反応性の調整
Project/Area Number |
22550157
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中村 幹夫 東邦大学, 医学部, 教授 (20112914)
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Keywords | 高原子価-鉄錯体 / 鉄(IV) / シトクロームP450 / EPRスペクトル / メスバウアースペクトル / NMRスペクトル |
Research Abstract |
鉄(IV)ポルフィリン錯体はシトクロームP450などのヘムタンパク質の関与する酸化反応における活性中間体との関連で、その物性や反応性に興味が持たれている。しかし、鉄(IV)ポルフィリン錯体の一般的合成法は依然として確立されていないため、酵素反応機構解明のためのモデル錯体を用いた研究の進展が阻害されている。本研究では鉄(III)ポルフィリンの1電子酸化体である鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオンに強い配位子場を持つ配位子を添加することにより鉄(IV)ポルフィリンに変換する方法を模索した。具体的には(テトラメシチルポルフィリン)鉄(III)クロリド錯体を1電子酸化して得られる鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオンのジクロロメタン溶液に、-70℃でフッ化物イオンを添加して鉄(IV)への変換を試みた。生成物の性質をMR,UV-Vis,およびMossbauerスペクトルで検討したところ、鉄(IV)錯体ではなくビスフルオロ-鉄(III)ポルフィリンラジカルカチオンであることが判明した。すなわち、フッ化物イオンの添加に伴う鉄(III)イオンからポルフィリン環への電子移動は起きないことが明らかになった。 そこで現在はポルフィリン環に電子求引性置換基を導入し環の電子親和力を高めることにより、鉄(III)からポルフィリン環への電子移動を促進し、鉄(IV)錯体へ変換することを試みている。具体的にはポルフィリン環のメソ位にヘプタフルオロプロピル基を持つ錯体やオルトニトロフェニル基を持つ錯体を合成し、その1電子酸化体にフッ化物イオンやイミダゾレートイオンなどの強い配位子場を持つ配位子を添加して鉄(IV)錯体を得る実験を試みる予定である。既に原料となる錯体の合成は完了しており、酸化反応を行う段階にまで至っている。
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[Presentation] 外部刺激応答型の新規機能性ヘム2011
Author(s)
大胡惠樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 藤原基靖, 根矢三郎, 生天目由紀子, 中村幹夫
Organizer
感染症・免疫難病の先進医療開発 平成22年度 事業報告会
Place of Presentation
東邦大学(東京都)
Year and Date
2011-03-25
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[Presentation] ヘムモデルの異常な外部刺激応答性2010
Author(s)
大胡惠樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 藤原基靖, 根矢三郎, 生天目由紀子, 中村幹夫
Organizer
第4回東北大学G-COE研究会「金属錯体の固体物性科学最前線-錯体化学と固体物性物理と生物物性の連携新領域創成を目指して-」
Place of Presentation
東北大学(仙台市)
Year and Date
2010-12-04
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[Presentation] ヘム錯体の外部刺激応答性2010
Author(s)
大胡惠樹, 橋爪大輔, 高橋一志, 森初果, 速水真也, 根矢三郎, 中村幹夫
Organizer
平成22年度 日本結晶学会年会
Place of Presentation
大阪大学コンベンションセンター(大阪市)
Year and Date
2010-12-03
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