2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋光合成カロテノイドの超エネルギー伝達効率解明に向けた有機合成からのアプローチ
Project/Area Number |
22550160
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70047364)
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Keywords | 海洋光合成 / カロテノイド / ペリジニン / フコキサンチン / 超エネルギー伝達効率の解明 / 構造的特徴と機能 / 効率的全合成 / 立体化学制御 |
Research Abstract |
多官能性カロテノイドのペリジニンおよびフコキサンチンは、海洋光合成の初期過程を担う主要な補助集光色素である。これらは、クロロフィルおよびタンパク質とアンテナ色素超分子複合体を形成し、吸収光エネルギーを80-95%の超効率でクロロフィルへ伝達する。本研究では、両天然物の構造的特徴と機能の関係を解明したい。先ず1.ペリジニンの特徴的官能基であるイリデンブテノリド環の存在意義を検討するため、この官能基を中央へシフトさせた誘導体の合成法を検討した。その結果、極めて効率的な4段階ワンポット反応を実現し、その合成法の開発に成功した。この合成法は立体化学を十分に制御するばかりでなく、広く応用可能である。次いで、2.類縁体合成にも適用可能な効率的かつ立体選択的なフコキサンチンの全合成を試みた。フコキサンチンは、特に塩基に不安定なβ-ケトエポキシ構造を持ちその合成はこれまでに1例しかなく、その合成も6員環部およびオレフィン部の立体化学は制御されていない。そこでペリジニン合成と同様に、アレンセグメントとβ-ケトエポキシセグメントの2成分から合成することとし、不安定なβ-ケトエポキシ部は合成の最終段階に構築する計画を立てた。検討の結果、ホモアリルアルコールを利用した不斉エポキシ化反応により立体選択的エポキシ化を実現し、手掛かりとした水酸基の立体化学を光延反応により反転させ、6員環部の立体選択的な構築に成功した。その後、共役鎖の伸長を経てエポキシセグメントとし、改良ジュリア反応により両セグメントの結合、アリル位水酸基の選択的酸化、共役オレフィンの異性化を経て、初の立体化学を制御したフコキサンチンの全合成を達成した。
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Research Products
(23 results)