2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール光学解析を用いた高効率白色有機EL素子の実践的研究
Project/Area Number |
22550168
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
三上 明義 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70319036)
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Keywords | 有機EL / 発光素子 / 電気・電子材料 / 光物性 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は独自に開発したマルチスケール光学設計法を用いて、有機EL照明に適応した白色有機EL素子の高効率化を目指すものであり、(1)基礎検討、(2)展開研究、(3)応用研究の順に推進する。初年度は、白色化の基盤技術となる青色系有機EL素子の高効率化を進めると共に、これに必要な光学解析アルゴリズムの開発に取り組んだ。得られた研究成果は以下のようである。 (1) 青色系燐光有機EL素子の高効率化 二波長型白色有機ELの青色発光を担う青緑系有機EL素子を作製し、発光特性の改善を進めた。素子は、基板/ITO/PEDOT:PSS/NPB/CBP:Firpic/UGH3/BCP/LiF/Al構造を基本とした低分子系積層構成を採用し、素子の電気的・光学的設計を実施した。陰極障壁の低減、UGHバッファ層の導入と共に、光学解析に基づく積層構成の最適化により、外部量子効率21%,パワー効率35lm/Wの青緑色発光が得られた。更に基板材料の高屈折率化により、約1.5倍の効率改善が可能なことを示した。 (2) 近接場光学を利用したマルチスケール光学解析アルゴリズムの拡張 従来の波動光学をベースとし、近接場光学理論を導入することで、有機EL薄膜内部の電気双極子放射モードのエネルギー分布を定量化できるアルゴリズムを開発した。これにより、有機層と金属電極間で生じる表面プラズモン共鳴の光学計算が可能となり、光学損失の原因と低減に役立つ。同ツールを現行素子に適用した結果、表面プラズモン損失が全光学損失の30%以上を占めていることが分かった。即ち、陰極構造の光学的な最適設計は発光効率の大幅な改善が期待できることを示唆しており、次年度以降の高効率化実験に有効な知見が得られた。
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Research Products
(6 results)