2011 Fiscal Year Annual Research Report
高い安全性と環境に低負荷性のアントシアニン系フォトクロミック材料の開発
Project/Area Number |
22550173
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
柴田 雅史 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (00513657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 克彦 (財)神奈川科学技術アカデミー, 専務理事 (60023264)
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Keywords | 光スイッチ / ナノ細孔体 / フォトクロミズム / アントシアニン / ヒドロキシメトキシカルコン / メソポーラスシリカ |
Research Abstract |
合成アントシアニン色素であるヒドロキシメトキシカルコン(HMC色素)を、細孔内修飾したメソポーラスシリカ(MPS)と複合化する研究をすすめている。HMC色素は、低環境負荷であることのみならず生体に対する高い安全性が期待できるフォトクロミック色素であるが、光や熱に対する安定性が低く、またドライ条件ではフォトクロミック性能が発現しない(水などの溶媒が必要)という欠点を有している。本研究は、MPS細孔中の固体酸性状態、細孔内表面の親水性・疎水性、細孔構造、金属ナノ粒子との共存などの因子を緻密に制御した上で色素と複合化することにより、上記欠点の克服を図ることを目的とする。 本年度は、前年度の成果であるMPSへの色素吸着条件の検討および得られた複合体が可逆的な光着消色(紫外線照射による着色と経時による消色)をおこす条件の検討結果をもとに、可逆的光着消色の性能を向上させるためのMPS調製方法の検討をおこなった。その結果以下の結果を得た。 1.MPSの合成段階でAlなどの3価の金属カチオンを含有させて細孔内に酸点を形成させるとHMC色素の着色型への変化がおこりやすくなった。これによって複合体に紫外線照射した際の着色度が向上した。 2.MPSの合成時に用いる構造形成剤(アルキルアンモニウム塩)を完全除去せずに意図的に少量残存させることで細孔内を疎水化した。このような疎水化MPSを用いると経時による消色が迅速におこりやすくなった。またAl含有量と疎水化の程度を調整することで、単純なMPSを用いた複合体に比べて光着消色性能が向上した。 3.Al以外の金属をMPS骨格に導入する方法としてアセチルアセトナート塩を用いる合成法を検討し、その結果Feを安定にMPS骨格に導入することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目(平成23年度)終了時点の目標であった「メソポーラスシリカへの合成アントシアニン色素の安定吸着手法の確立」と「得られた色素・メソポーラスシリカ複合体の光着色挙動の発現」を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度におこなったメソポーラスシリカへの金属含有と細孔内疎水化処理の併用が予想以上に光着消色挙動の向上に効果的であったことから、平成24年度はこの手法のさらなる改良をまず進め、当初予定されていた色素と他の有機分子および無機微粒子との共存効果の検討はその後におこなう予定である。
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