2011 Fiscal Year Annual Research Report
高性能樹脂用「一官能性ならびに二官能性フラーレン誘導体」の選択的合成法の開発
Project/Area Number |
22550176
|
Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
大野 敏信 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (30416292)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貴敏 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (60416295)
岩井 利之 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (20416291)
|
Keywords | フラーレン / メタノフラーレン / 高性能樹脂 / 一官能性 / 二官能性 / 選択的合成 / 添加剤 / 改質剤 |
Research Abstract |
フラーレン類は、高分子樹脂中に混錬させることにより、耐熱性、低誘電率特性、高弾性率を改善できることが知られている。しかしながら、現状ではフラーレンそのものを機械的に粉砕しながら混錬するのが一般的であり、フラーレンの強い凝集性のために分散率が高くなく、機械的強度などに悪影響することなど少なくない。一方、フラーレン類に有機修飾を施したフラーレン誘導体はその溶解度も高く上記の問題を解決する有力な方法である。しかしながら、フラーレン誘導体の置換は、未反応、一置換、二置換、三置換、四置換、五置換、六置換等の混合物になることが多く、その選択的合成は極めて難しい。材料改質剤や多官能性モノマーとして使用を検討する場合、カラム分離による煩雑なプロセスを要し、コスト的にも応用が難しくなる。従って、現状では混合物で使用するためロットによる違いが生じたりするなど樹脂物性のコントロールも難しく選択的な合成プロセスを開発する必要がある。連結方法としては様々な方法が知られているが、これまで我々が最も取扱経験の多いトシルヒドラゾンを前駆体とするメタノフラーレンの合成から手掛け、平成22年度に水系二層系反応を新たに開発し水の含まれる状態により反応速度や生成比に影響を与えない合成法を開発した。本年度はこの方法を基本にマイクロリアクターによる選択的反応を試みた。流速を2.5mL/minと一定とし、反応温度による影響を検討した。その結果、トシルヒドラゾンより発生させたジアゾ化物とC_<60>を低温(0℃)で混合することで、ビスアダクトの生成を抑え、モノアダクトの選択性を向上させることができた。また、バッチ法の結果と比較しても収率及び選択性が向上できたことより、マイクロリアクターの高速混合効果が得られたものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トシルヒドラゾンを用いる通常方法は水分の影響を受けやすいが、水系二層系反応の開発により水分含有率の違いによる反応制御の困難さを克服した。また、選択性もマイクロリアクターの利用によりわずかではあるが、選択性をあげることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
トシルヒドラゾンを用いるもう一つの欠点としては、[5,6]に付加するフレロイドが生成し、目的の[6,6]メタノフラーレンを得るには、高温で長時間加熱するか、光反応による異性化が必要でとなる。そこで、異性化変換反応の必要のない簡便な硫黄イリドを経由する反応も新規に開発し、マイクロリアクターによるカルボン酸を有する選択的一官能性フラーレン誘導体の合成を行っている。また、これをC70にも適応し、より選択性の高い反応を開発してゆきたい。
|
Research Products
(7 results)