2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550182
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
矢澤 哲夫 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50347522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大幸 裕介 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (70514404)
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Keywords | ガラス / 文相 |
Research Abstract |
(1)分相構造および分相ダイナミクス 熱履歴(ガラス融液の冷却速度、分相処理温度)や組成の異なるボロシリケートガラスを系統的に作製して、ホウ素の空間的な繋がり方を^<11>Bの2D相関NMR分光スペクトルより明らかにした。この際、21.8Tの強磁場のNMR測定装置を用いて精密に解析を行った。この結果、分相において酸に対する可溶相であるアルカリボレート相中のBはリング状にて存在していること、酸に対する不溶相であるシリカリッチ相中のBは、孤立した状態でSiと結合していることを明にした。 (2)分相構造の特徴を生かしたガラスの機能性向上 (1)発光特性 分相構造中にYBO_3:Eu^<3+>赤色発光ナノ結晶を析出させる際に、ガラス転移温度よりやや高い温度にて延伸することで、分相構造中に析出した結晶を延伸方向に配列させることを試みた。発光スペクトルより得られるR/O(R:赤色発光成分、O:オレンジ発光成分)比より、ひずみの程度を解析したが延伸による顕著な歪みの効果は観測できなかった。 (2)イオン伝導性 アルカリリンケイ酸ガラスの分相により誘起される高極性の連通空間をプロトン伝導のパスとする新しい燃料電池電解質の作製を試みた。[Al]/[P]に対して導電率は、Al=0のガラスに比べて、Al量が増加すると最大で導電率は1.5桁低下した。さらに、アルミナ添加により混合アルカリ効果が顕著になった。これは、アルカリイオンが、シリカサイトに同形置換したAl近傍に束縛されることに基因するものと考えられる。 (3)可視光応答高効率光触媒 酸化チタンと酸化タングステンを含むガラスを作製して、分相構造中で結晶析出させることで、可視光活性光触媒ガラスを作製することを試みた。具体的には、TiO_2-WO_3-SiO_2-B_2O_3系ガラスを1000℃、15時間熱処理することにより、アルカリボレート相中にTiO_2、WO_3の結晶が同時に析出することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画の(2)(1)発光特性について、延伸による歪みの効果は観測されなかったことが、若干問題ではあるが、次年度はケミカルドーピングによる手法を用いて、発光特性の歪みの効果を検討したい。その他の研究計画については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね申請書に基づく研究計画に沿って研究を進めていきたい。
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