2010 Fiscal Year Annual Research Report
錯体水素化物のリチウムイオン伝導圧力依存と構造の相関による伝導パス形成因子の解明
Project/Area Number |
22550185
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山脇 浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (10358294)
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Keywords | ラマン分光 / 高圧力 / リチウムイオン伝導 / 錯体水素化物 / 粉末X線回折 / 温度-圧力相図 / 交流インピーダンス測定 |
Research Abstract |
水素貯蔵材料として注目され、高いLiイオン伝導性を示すLiBH_4をはじめとするLi系錯体水素化物に関して、温度・圧力により出現する様々な結晶相に対して各相のイオン伝導度を調べ、振動分光によるイオンの振動状態、粉末X線回折による構造変化などを明らかにし、イオン伝導度と構造との相関関係を解明することを目的としている。今年度はラマン分光により300℃、20GPaの温度圧力範囲におけるLiBH_4の温度-圧力相図を確認し、I-V相境界を実験的に確認し負の傾きをもつことを確かめた。IV相の存在が示唆されていた領域ではI相とIII相が共存するのみだった。室温での粉末X線回折により、V相出現の前に準安定なV'相が現れ、その構造も明らかにした。既存の高圧セル用ヒーター付きホルダーを改良することで300℃程度までの高温高圧X線回折実験を高エネ研放射光施設で行うことを可能とした。LiBH_4の粉末X線データをPF BL-18Cにおいて測定を開始し、510KにおけるLiBH_4 V相の圧縮曲線を求めた。同じ圧力下でも室温III相と比べてモル体積が大きいという結果が得られている。ダイヤモンドアンビル高圧セルによるLiBH_4の高圧下でのインピーダンス測定を試み、データが取得できることを確かめた。高温I相におけるイオン伝導度の圧力依存性測定を行い、圧力と共にイオン伝導度が低下し、III相への転移に伴いさらに1桁伝導度が低下することを明らかにした。
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