2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性無機陰イオン交換体の細孔制御及び過塩素酸イオンの選択的捕捉技術に関する研究
Project/Area Number |
22550186
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
槇田 洋二 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (80357988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苑田 晃成 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (90357335)
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Keywords | 合成化学 / イオン交換 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
本研究では、過塩素酸イオンを選択的に吸着する多孔性の鉄系水酸化物を開発するために、細孔の縦方向のFe(OH)6八面体の連結数をm、横方向をnとして[m×n]と表記した場合に、[2×3]または[3×3]の細孔構造を持ち、かつ、陰イオン交換性を有する新規多孔体の合成を目指す。本年度は、鉄系層状複水酸化物(Lepidocrocite、γ-FeOOH)の層を構成するFe(III)の一部をZr(IV)に置換してイオン交換性を発現させ、各種オキソ酸イオンに対する交換特性を調べるとともに、合成物を水熱処理して新規な細孔構造の構築を試みた。その結果、レピドクロサイトのFeの一部をZrに置換したイオン交換体(Zr置換率5~20%)の各種陰イオンに対する分配係数(Kd)は、Zrの置換率に関係なくリン酸・硫酸>硝酸>過塩素酸の順であったが、Zrの置換率が高いほど過塩素酸イオンに対する分配係数は高くなることがわかった。一方、Fe(III)の一部をZr(IV)に置換してイオン交換性を発現させたレピドクロサイトを塩化マグネシウム溶液中で水熱処理し[2×3]または[3×3]の細孔構造の構築を試みたが、細孔構造は構築されなかった。そこで、鉄系以外の種々の層状化合物についても過塩素酸イオンの捕捉剤への応用について予備検討を行った。その結果、層状アルミノケイ酸塩鉱物であるモンモリロナイトの層間に塩化ヘキサデシルピリジニウムを過剰にイオン交換した化合物が過塩素酸イオンに対して高い交換特性を示すことがわかった。各種オキソ酸イオンに対する分配係数は過塩素酸>硝酸>硫酸>リン酸となり、過塩素酸イオンに対して高い分配係数を持つ陰イオン交換体の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過塩素酸イオンの選択的捕捉剤の開発のために多孔性の鉄系水酸化物の合成を試みているが、現在のところ多孔化には成功していない。一方、過塩素酸イオンに対して高い選択性を示す層状化合物の合成に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン交換性を発現させた層状鉄系水酸化物を前駆体に用いた細孔構造構築のための合成条件を詳細に検討する。また、過塩素酸イオンに対して高い選択性を示した塩化ヘキサデシルピリジニウム担持モンモリロナイトについては、過塩素酸イオンを添加した模擬飲料水を用いてどの程度まで過塩素酸イオンを低減できるかをバッチ法で評価し、過塩素酸イオン捕捉剤としての応用について検討する。
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