2012 Fiscal Year Annual Research Report
ノイズ解析ナノフィッシング法の開発と高分子一本鎖ダイナミクス研究への応用
Project/Area Number |
22550189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 健 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90301770)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 高分子一本鎖 / ノイズ解析 / ポリスチレン / ポリイソピルアクリルアミド / 共通貧溶媒性 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が開発してきた原子間力顕微鏡を基礎に据えた高分子一本鎖のナノフィッシング(高分子一本鎖伸長)技術を改良し、ノイズ解析ナノフィッシング技術として昇華させるとともに、それを高分子一本鎖のダイナミクス研究に応用した。それによって、高分子物理学の中でも理論主導で実験的確証の少ない「高分子一本鎖の物理学」を実験主導の学問として確立することを目指した。 より具体的には、揺動散逸定理の一表現として、溶媒の中に置かれた「探針+高分子一本鎖」の系が溶媒分子から感じる揺動力をスペクトル解析することで高分子鎖の見かけのバネ定数や摩擦係数に関する情報を取得することを目論んだ。原子間力顕微鏡装置外部に設置した高速デジタイザボードによるデータ収録とオフラインでの解析という測定を行い、ナノフィッシング時に得られた信号のノイズ解析を行った。基板と接触時、高分子鎖がランダムコイル状態になっている時、高分子鎖が伸び切り鎖近傍の状態にある時、そして結合破断が生じカンチレバーが自由な状態に戻った時ではそれぞれパワースペクトル密度(PSD)が異なることが分かった。 高分子としては、ポリスチレンや水溶系の温度感応性ポリマーであるポリイソピルアクリルアミドを主に用いた。前者についてはバネ定数と摩擦係数から求まる緩和時間の分子量依存性を求めるところまで実験を進めることができ、Kirkwoodモデルが実験結果を最もよく再現することを発見した。また後者については前年度の水中での温度依存性に続き、共通貧溶媒性についても検討を行った。どちらの場合も溶液レベルの測定では貧溶媒、良溶媒とはっきり分かっている状態でも、一本鎖レベルの応答では100%貧溶媒での応答、あるいはその逆とはならず、分子個々の個性が表れることを発見した。その理由はまだ解明されていないが、現在これらの結果について三報の論文を投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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