2010 Fiscal Year Annual Research Report
反応誘起相分離によるメソスコピック構造形成の直接観察による素反応と構造形成の相関
Project/Area Number |
22550193
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 勝宏 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30314082)
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Keywords | 反応誘起相分離 / 小角散乱 / ラジカル重合 / メソスコピック / 構造形成 |
Research Abstract |
重合性官能基を両末端にもつテレケリック高分子であるポリジメチルシロキサンジアクリレートとラジカル重合性モノマー(ジメチルアクリルアミド、重水素化スチレン、メタクリル酸メチル)のラジカル共重合で形成されるメソスコピックネットワーク構造の形成過程を、小角X線散乱、中性子散乱、赤外分光法によって観察し、反応進行度と構造形成の相関について調べた。いずれも反応前の初期状態は、均一に混合した状態であったが、反応が進行するに伴い、相分離が進行することを確認した。テレケリック高分子と上記モノマーとの反応性比には顕著な違いのない系であり、共重合反応はランダムに進行していることを時間分割赤外分光法により明らかにした。また反応系を通常のラジカル重合とリビング重合系に分けて行ったが、重合機構が最終構造に与える影響は小さいことが明らかとなった。リビング重合系を用いたことで、反応を途中で止めることが可能(UV照射をとめるあるいは温度を低下させる)であり、反応率と重合過程の構造変化を詳細に追随できた。反応率の低い領域では、ランダム二相系の相分離構造であったものが、反応率がある閾値を超えると、相分離構造にテレケリック高分子の分子量に関係する大きさの周期性が現れることが明らかとなった。本年度の研究において、相分離構造形成と各反応成分の反応率の時間発展についてそれらの関係を詳細に検討することを目的に、反応物それぞれの各時間における濃度、モノマー濃度などを明らかにし、相分離構造のモデルを想定した上で構造解析を行った。構造形成に重要な因子である、系全体の反応率についての知見をえることができた。これらの結果は、透明で内部に共連続構造を有する高分子材料の開発に貢献するものである。
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