2011 Fiscal Year Annual Research Report
反応誘起相分離によるメソスコピック構造形成の直接観察による素反応と構造形成の相関
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22550193
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 勝宏 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30314082)
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Keywords | 反応誘起相分離 / ラジカル共重合 / 小角X線散乱 / ポリジメチルシロキサン / モノマー反応性比 |
Research Abstract |
各種親水性モノマー(2ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド)と重合性テレケリク高分子であるポリジメチルシロキサンとの多事かる共重合によるネットワーク構造について、その構造の形成過程と形成構図の大きさの相関について明らかにするため、様々な角度から検討を行った。特にモノマーとポリジメチルシロキサンとの重合反応性すなわちモノマー反応性によって形成する構造が分類できることがわかった。メソスコピックな相分離構造を有する透明ゲルを構築するには、互いのモノマー反応性比が等しい(1に近い値)ことが必要であり、それ以外はマクロ相分離する。相分離構造は互いのモノマー反応性比の大小関係にも依存し、マクロ相分離を起こす機構に違いがあることを突き止めた。さらに本系では透明なゲルに対して、重合反応速度はあまり意味がなく、遅くても早くてもおおむね同じ構造を形成することがわかった。構造の大きさはポリジメチルシロキサンの分子量と親水性モノマーの連続的につながるシーケンス長によって支配される。また重合と同時に3次元ネットワーク化が構築されるため、相分離構造の大きさの発展が阻害されたと考えられる。 より詳細な相分離構造の解析のため新しく、X線コントラスト変調法を考案し、ゲルをある極性溶媒に浸漬することで得られる膨潤ゲルの相分離状態の構造解析を行った。親水性ドメインが本年度は透明ゲルにのみ適応し、その手法の確立を試みた。二成分の高分子成分からなるゲルであるが、親水性ドメインが極性溶媒のみを吸収することで各ドメインのコントラストを変調できることがわかった。その結果、親水性ドメインが単純な、均一相ではなく二成分以上の不均一構造であることが明確になった。これらの結果は含水状態での親水性ドメインの物質透過挙動などの物性値にあらたな知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は中性子散乱法を利用した構造解析を行う予定としていたが、事故の影響でそれが進んでいない。しかし、類似の他の手法が有効であることを確認できつつあるため、当初の時間的予定から外れることなく進展している。新しい解析手法を見出せたことは当初計画より進展した点である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、構造解析の手法として考案した手法を、様々なモノマーとの組み合わせでつくったゲルにも適応し、より詳細に構造解析を進める。それにより昨年度まで得ている結果と構造との相関を確たるものにし、総括していく。
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Research Products
(4 results)