2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密ネットワーク制御を基盤としたポリベンゾオキサジンの高機能化
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22550194
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
竹市 力 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90126938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 岳大 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70447853)
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Keywords | ベンゾオキサジン / ビニル基 / ラジカル重合 / 開環重合 / ネットワーク / 液晶 / メソゲン |
Research Abstract |
ベンゾオキサジン骨格中に架橋性官能基として新たにビニル基を導入し、ベンゾオキサジンの開環重合とビニル基のラジカル重合を組み合わせた新たな架橋システムの構築について検討した。ビニル基を有する芳香族アミンをフェノール、ホルムアルデヒドと組み合わせることで、ビニル基含有ベンゾオキサジンを合成した。ベンゾオキサジンの開環重合わよびビニル基のラジカル重合反応性挙動は示差走査熱量計の発熱により検討した。ビニル基含有ベンゾオキサジンから得られる硬化物はビニル基の無い通常のベンゾオキサジンに比べ、より高い耐熱性を有することを確認した。ビニル基含有ベンゾオキサジンのビニル基は種々のビニルモノマーとのラジカル共重合が可能である。そこで、典型的なモノマーであるスチレンおよびメタクリル酸メチルとのラジカル共重合を試みたところ、ラジカル重合開始剤存在下で共重合し、ベンゾオキサジンをペンダントに有するビニルポリマーが得られた。この共重合体を熱処理することでベンゾオキサジンが開環重合し、三次元網目構造を形成し、高い耐熱性を有する高分子材料となることもわかった。 また、液晶フェノールを原料として各種アミン、ホルムアルデヒドとを組み合わせ、液晶性ベンゾオキサジンを合成した。液晶性の発現は示差走査熱量計および偏光顕微鏡で確認した。単官能の液晶ベンゾオキサジンからの硬化フィルムは硬いが脆いフィルムであった。そこで、単官能液晶ベンゾオキサジン骨格を共有結合で連結することで、二官能の液晶ベンゾオキサジンを合成することができた。得られた二官能液晶ベンゾオキサジンは脂肪族鎖による連結基を用いたため、熱硬化によってネットワークを形成させても非常に柔軟で強靭なフィルムになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成条件が得られる高分子量前駆体の構造に与える影響を把握できた。また、ベンゾオキサジンの骨格中にビニル基を導入することで、ベンゾオキサジンのカチオン開環重合とビニル基のラジカル重合性とを併せ持つ新規なベンゾオキサジンが合成でき、耐熱性に優れた硬化物が作製できた。 また、単官能および二官能液晶ベンゾオキサジンを合成することができ、熱硬化によって単官能体からは硬いフィルムが、二官能体からは柔軟で強靭なフィルムを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ビニル基含有ベンゾオキサジンと各種ビニルモノマーとの共重合で、ビニルモノマーを適切に選択することで、高い耐熱性を維持したまま、柔軟かつ強靭さを付与するフィルムの作製を試みる 液晶ベンゾオキサジンについては、より一層高温で液晶性を示すベンゾオキサジンを合成すると共に、磁場中での硬化を試みることでネットワーク構造の制御を行う。
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