2010 Fiscal Year Annual Research Report
医用接着・シーリング材料の開発を志向した天然ナノ複合材料の開発
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22550197
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
斎本 博之 鳥取大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20186977)
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Keywords | キチン / キトサン / 医用接着剤 / シーリング材料 / 多重分岐キトサン / カルボキシメチルキチン |
Research Abstract |
意義、重要性 外科領域では切開部分の縫合が行なわれてきたが、最近需要が増加している内視鏡手術に対応できないので、迅速に切開部を接着する新技術が要望されている。また、体表においても、患部を迅速にシーリングできる新技術が要望されている。 従来の方法の問題点と解決方法 「合成樹脂由来の瞬間接着剤は、生分解性が無く、生体内に残留する問題がある」ほか、「血液製剤由来の製品は、C型肝炎やエイズなどのウィルス感染の危険がある」等の深刻な問題があった。本研究では、「上記のような問題の無いカニ・エビ殻の成分であるキチン、キトサン」を活用することにより、安全かつ新規な医用接着・シーリング材料を開発することを目的とした。 具体的内容と成果 1.多重分岐キトサンの合成と評価 キトサンは、中性の水には不溶であるという問題があったが、鎖長が比較的長いキトサン主鎖に対して、鎖長が比較的短いキトサンを用いて分岐形成(側鎖導入)を行なうことにより、中性の水への溶解性を付与することに成功した。しかし、疎水性の重合性基を導入して生体接着剤として用いるには水溶性が不十分であった。 2.カルボキシメチル化キチン誘導体の合成と重合性基導入の検討 カルボキシメチル化キチンの場合、疎水性の重合性基を導入しても良好な水溶性を維持し、接着条件の検討に進んだ。当初検討した光重合は好適な触媒の探索が困難であったが、種々の検討の結果、酸化還元法によるラジカル重合の手法が良好な硬化・接着性を示すことを見出した。 3.カルボキシメチル化キチン誘導体とキチンナノファイバーとの複合化の検討 上記のカルボキシメチル化キチン誘導体をキチンナノファイバーと複合化させるための混合方法に目処をつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初検討した多重分岐型キトサン誘導体に続いて、カルボキシメチル化キチン誘導体を検討したところ、当初の予想以上の優れた溶解性と重合性を示す可能性を発見することができた。キチンナノファイバーとの複合化の検討と併せ、2年目に進む十分な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において、生体接着剤として有望なカルボキシメチル化キチン誘導体を見出すことに成功したので、次年度は、キチンナノファイバーとの複合化の検討を加味することにより、接着性能の一層の向上をめざす。
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Research Products
(7 results)