2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル強磁性体/超伝導体接合を用いた高効率スピン偏極電流注入源の創出
Project/Area Number |
22560001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 健一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (80360931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 眞史 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10322835)
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Keywords | スピントロニクス / ハーフメタル強磁性体 / スピン注入素子 / 超伝導近接効果 / 奇周波超伝導 |
Research Abstract |
本研究は、強磁性体/超伝導体多層膜を利用したスピン偏極電流注入素子の作製とその電気伝導特性評価を目的としている。平成22年度はまず初めにCo系ホイスラー合金のうちCo_2Cr_<0.6>Fe_<0.4>Alを強磁性体に、NbNを超伝導体に採用し、MgO基板上にこれらの多層膜構造をエピタキシャル成長させることを行った。その結果、各層においてRHEED像に明瞭なストリークパターンが確認され、またX線極点図測定からも結晶構造を反映した4回対称の反射を観測したことから単結晶エピタキシャル成長していることが確認された。このときNbNの超伝導転移温度は約13Kであり、この値はバルク状態のNbNの転移温度(約15K)よりは下がるものの、十分な温度範囲であることも確認された。さらにNbN/Co_2Cr_<0.6>Fe_<0.4>Al/NbN接合を作製し、その電気伝導特性を0.3Kまでの低温領域で測定した。その結果、上記接合の微分伝導特性に明瞭なゼロバイアスピークが確認された。通常、超伝導体/常磁性体接合界面ではアンドレーエフ反射に起因したゼロバイアスピークが観測されるが、強磁性体/超伝導体接合では、アンドレーフ反射確率が極端に抑制されるために、ゼロバイアスピークは観測されない。したがって、この電気伝導特性はスピン偏極超伝導成分(奇周波対称性をもつ成分)の存在を示唆する結果であると考えられる。またこのピークの大きさは、約5.5K以下で出現し、温度の低下とともに増大することが見出された。これらの成果は、論文4件(査読有)、学会発表22件に発表された。
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Research Products
(24 results)