2011 Fiscal Year Annual Research Report
ErYSiOシリケート結晶の発光過程におけるErイオン間エネルギー移動の評価
Project/Area Number |
22560003
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
木村 忠正 電気通信大学, 名誉教授 (50017365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一色 秀夫 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (60260212)
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Keywords | シリコンフォトニク / 光源技術 / 光物性 / テラヘルツ/赤外材料・素子 / 光導波路 / 光増幅器 / 希土類元素 |
Research Abstract |
(1)ゾルゲル法により、Er_xY_<2-x>SiO_5シリケート結晶膜のEr組成(xの値)を変化させ、Er^<3+>4f-内殻遷移の1.53μmフォトルミネセンス(PL)発光強度、その蛍光寿命(τ_f)、を調べた。x~0.1(Er:~1×10^<21>/cm^3)でPL強度が最大(Er_2SiO_5のPL強度g)10倍以上、通常の濃度消光の始まるEr濃度の10倍の濃度)、τ_f~1msを得た。Erイオン間のエネルギーマイグレーションと結晶粒界での非発光中心を考慮したモデルを構築し、実験結果を定量的に説明した。 (2)最適Er濃度のEr_xY_<2-x>SiO_5を用いて光導波路を作製し、高密度光励起(励起光:1.48μm)での協同アップコンバーション(CUC)を評価し、x~0.1でCUCによる緑、赤の発光が十分に抑制されていることを示した。フォトニック結晶に組み込んだSiスロット光導波路のスロット中にEr_xY_<2-x>SiO_5を埋め込んだ光導波路を作製し、1.48μm光励起により30dB/cmの光利得を測定した。シリコンフォトニクスにおける光増幅素子、また、レーザ素子としての可能性を示した。 (3)光散乱が少ない均質な膜で、組成のより精密な制御が期待できるEr_xY_<2-x>SiO_5結晶膜作製方法として、パルスレーザ堆積法、ラジカルアシストスパッタリング法による膜作製を試み、ゾルゲル方法より高品質の膜を得た。 (4)パルスレーザ堆積法で、Er_xYb_yY_<2-x-y>SiO_5、ErLaSiOの複合材料を作製し、希土類イオン間のエネルギー移動、増感作用、多波長発光特性を調べた。高密度Er、Ybの多波長発光、YbによるEr発光の増感効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Er_xY_<2-x>SiO_5膜において、Er密度(x)を変化させ、Er~1×10^<21>/cm^3という通常のドーピングでは濃度消光が大きなEr密度で、Er1.53μmの最大発光強度を得た。また、スロット型光導波路のスロット中にEr_xY_<2-x>SiO_5を組み込み、光励起により30dB/cmの光利得を実現した。以上のように、Er密度を最適化したEr_xY_<2-x>SiO_5結晶薄膜が、Er1.53μmの光増幅、レーザ素子材料としての可能性があることを実験的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ゾルゲル法で作製するEr_xY_<2-x>SiO_5は~作製方法が比較的容易で、Er間エネルギーマイグレーションの研究には適した作製方法であるが、高品質の光デバイス作製のためには、成分の精密制御が難しい、成膜の光学的散乱が多い、厚い均一の膜の作製が難しい、1100℃以上のアニールが必要、などの問題点があった。デバイス化に向けて、光学的な特性の改善のために、成分制御や膜の層構造堆積(超格子的臭気構造)、低温結晶化が期待できる、パルスレーザ堆積、ラジカルアシステッドスパッタリング(RAS:radical assisted sputteriig)の成膜技術を高め、高品質のEr_xY_<2-x>SiO_5、Er_xYb_yY_<2-x-y>SiO_5、ErLaSiO複合材料膜を作製し、光散乱、損失を極力抑えた状態で、希土類イオン間のエネルギー移動、増感作用の詳細を調べるとともに、光増幅器、発光デバイスとしての特性を追求する。 (2)平成23年度に試験的に作製した新規スロット型光導波路の構造を最適化し、パルスレーザ堆積による高品質のEr。Y叡SiO5をスロットに埋め込んだ光導波路を作製、光学利得の測定と理論的検討を行う。光導波路に光フィードバック構造を組み込み、光発振を得ることを試みる。 (3)まとめとして、これまでの成果に関する論文の執筆、国際学会での発表、報告書の作成を行う。
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