2010 Fiscal Year Annual Research Report
インジウムリンベース・室温スピントロニクスデバイスの研究
Project/Area Number |
22560005
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
内富 直隆 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20313562)
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Keywords | 結晶工学 / 結晶成長 / 界面・界面物性 / 半導体 |
Research Abstract |
II-IV-V2型化合物半導体ZnSnAs2薄膜は分子線エピタキシー法によりInP基板にエピタキシャル成長することができ、強磁性転移温度が330Kを越える室温強磁性半導体であることを確認している。このようなMn添加ZnSnAs2膜はInP基板に格子整合するInGaAsやInAlAsとヘテロ接合を作製できると期待されInPベースのスピントロニクス半導体として有望である。このような半導体スピントロニクスデバイスを作製するために、Mn添加量を変えたZnSnAs2:Mn薄膜を成長し、その磁気特性や電気特性、光学特性について調べた。ZnSnAs2薄膜はバルク結晶ではカルコパイライト型結晶構造を示すが、非平衡な分子線エピタキシー法による結晶成長では、カルコパイライト型とスファレライト型が混在した結晶構造をとると予想される。一方、この磁性半導体が室温強磁性を示す起源についてはまだ理解されていない。本研究において、Mn添加量を変化させた試料を作製し、その組成比について分析すると、磁性原子MnはII-IV族半導体で予想されるII族のZnサイトを置換するよりもIV族のSnサイトを多く置換していることが分かってきた。この実験結果から、Snサイトを置換したMn^<4+>は2個のホールを供給すると予想され、Znサイトを置換したMn^<2+>に対してもホールが介在した強磁性的相互作用を及ぼすと考えられる。これらの結論は今後理論的見地から検証を必要とするが、多元系磁性半導体の室温強磁性を説明できる糸口になると考えられる。あわせて、ZnSnAs2/ZnSnAs2:Mn/ZnSnAs2積層構造についてエピタキシャル成長を確認することができた。今後、磁性半導体ZnSnAs2:Mnを含むヘテロ接合の結晶成長を検証することで半導体スピントロニクスデバイスへの展開を行う。
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Research Products
(16 results)