2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属基板上の単結晶様芳香族分子多層膜エピタキシャル成長の理解と制御
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22560006
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
FRIEDLEIN Rainer 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (80452118)
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Keywords | 有機エレクトロニクス / 光電子分光 / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
高性能有機半導体素子実現のためには、有機半導体層及び有機半導体/電極界面における高速電荷輸送が不可欠である。電荷は欠陥により捕獲され、その移動を妨げられるので、高移動度実現のためには有機半導体膜の構造秩序向上が重要である。本研究ではこの点に着目し、単結晶金属基板上へのオリゴアセン等有機半導体分子のエピタキシャル成長を決める金属基板との界面相互作用を電子線回折による結晶構造解析と角度分解紫外光電子分光による電子構造解析より明らかにすることを目的とする。今年度は以下の様な知見が得られた。 1.テトラセン薄膜のビスマス(0001)表面への成長を行い、この表面との相互作用の小さい一連のオリゴアセン薄膜成長実験を完了した。このテトラセン薄膜はアントラセン、ペンタセンと異なり、二つの相からなることが分かった。温度によって「寝て」いる配向から「立って」いる配向に変わる様子が観測された。分子と金属基板との相互作用が弱い場合にもエピタキシャル条件が重要な役割を果たしていることを示唆している。 2.W型のペンタセンのアイソマーである分子、ピセン、の高配向膜をAg(110)表面に成長することに成功した。単分子層の単位格子はバルクの結晶のものに近く、単分子層にも関わらず分子が「立って」いた。この傾向は同じ表面へのオリゴアセンの単分子膜の場合と異なり、基板-分子相互作用へのエピタキシー条件の影響が示された。 3.Cu(110)とヂベンゾテトラチアフルヴァレン(DBTTF)との界面における複雑な相互作用を実験から明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
追加で、分子の形と官能基によって分子-基板相互作用を変える実験をピセンとDBTTFを使用して行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
特にDBTTF分子が「立って」いる多層膜をCu(110)表面に成長し、低速電子線回折と角度分解光電子分光により調べる。単層膜と多層膜の間の分子間バンド分散の相違を明らかにし、混合界面準位の性質をもとに議論する。それに加えてDBTTFのAg(110)表面への成長も行う。有機分子膜の単結晶配向膜の作製が可能になれば、分子間バンド分散、トラップ準位のエネルギー、有機-金属界面でのホールの動的特性などのミクロな輸送特性の研究が可能となる。
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Research Products
(10 results)