2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560008
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
松本 俊 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00020503)
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Keywords | 励起子 / 多重量子井戸 / MBE / スピン偏極 / 磁性半導体 |
Research Abstract |
半導体ナノ構造の局在励起子を有機的に結合することで多次元情報処理や量子演算などの新規デバイスへの応用が期待できる。本研究では希薄磁性半導体(DMS)井戸と非磁性半導体(NMS)井戸が近接して存在する多重量子井戸(MQW)構造を作製し、局在励起子の相互作用と移動現象を明らかにする。本年度は、広範なパラメータを有する量子井戸について井戸間結合強さの精密制御を可能にする成長技術を開発するとともに励起子移動を伴う発光の減衰特性の測定を開始した。 1. 原料交互供給法による多重量子井戸(MQW)構造の作製 金属原子(ZnとCd)ビームと非金属原子(Se)ビームを交互に供給してZnCdSe/ZnSe量子井戸をMBE法で作製した。井戸層成長中はCdビームとZnビームを交互に供給し供給時間比で組成を制御した。金属、非金属ビームをそれぞれ2サイクル供給した量子井戸(井戸層厚約6A)の場合、Cdビーム供給時間割合が40~100%に対して井戸局在励起子エネルギーは2.785~2.756eVであった。この方法は組成の異なる井戸層が近接して存在するMQWの作製に有用である。なお、ZnSe障壁層はZnビームとSeビームの同時供給で成長するが、井戸層に接する領域では交互供給法を採用することで界面平坦性が向上して井戸局在励起子発光スペクトルの半値幅が狭くなる。 2. 励起子発光の減衰特性 DMS井戸とNMS井戸を有するDQW構造をパルスレーザーで励起して各井戸局在励起子発光の円偏光分離減衰特性を調べた。DMS井戸励起子発光は単一指数関数的な減衰を示し、偏光や外部印加磁界に依存しない。一方、NMS井戸励起子発光では偏光と外部印加磁界に依存する2つの指数関数的成分を持つ減衰特性が観測された。DMS井戸でスピン偏極を受けた励起子のNMS井戸への移動の影響が現れたと考えられる。
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Research Products
(8 results)