2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロPD法によるニオブ酸カリウム組成融液からの板状ニオブ酸カリウム結晶育成
Project/Area Number |
22560010
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小松 隆一 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20314817)
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Keywords | ニオブ酸カリウム / 弾性表面波基 / 非鉛系圧電材料 / pulling down法 / 結晶ファイバー / 誘電測定 |
Research Abstract |
ニオブ酸カリウム(KNbO3:KN)は、電気機械結合定数が大きいので、弾性表面波基板だけでなく非鉛系圧電材料としても注目されている。このKN結晶は不一致溶融化合物なので、育成はフラックス法で行われているが、育成結晶中へのフラックスの混入、育成速度が増加できない等の問題があり、結晶が効率的に育成出来、低コスト化が図れれば、市場が開拓できると予想されている。この結晶育成に対し、申請者らはpulling down法(PD法)でKN組成からKNファイバー結晶が育成できることを見出した。この結果は効率的なKN結晶が育成できる可能性を示したものである。そこで本研究では、デバイスサイズでの板状のKN結晶の育成を達成することを目的とした。本年度は、KN組成からKNファイバー結晶が育成できる条件、特に温度勾配を調べた。その結果は最適な温度勾配条件として、急激な温度勾配でなく緩やかな温度勾配がKN組成融液からKN結晶を育成するためには必要であることが明らかになった。また緩やかな温度勾配のために固液界面で結晶化潜熱が蓄積して生じるリメルト現象が発生していることも推定された。育成結晶についても誘電測定を行い、バルクのKNと同じ温度での相転移を観察できた。次にこの温度勾配条件に合致する様にファイバー育成炉(PD炉)の改造を行い、板状KN結晶の育成を検討した。板状KNファイバー結晶の育成には、白金るつぼ下に直方形のノズルを設け、この直方体の形状で板状にする検討を行った。ノズルの形状と厚みを変えながら、育成を行っているが、数mm引き下げたところで融液と結晶が離れてしまう等で、安定的な育成条件が見いだされていない。来年度はこの条件を最適化することに注力する。
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