2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560013
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坪井 泰住 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (70065861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 正幸 京都産業大学, 理学部, 教授 (80207175)
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Keywords | 有機EL / 白色有機EL素子 / タンデム型発光素子 / エネルギー伝達 / 有機EL照明 / 電子正孔再結合 / 白色発光高分子 / 外部量子効率 |
Research Abstract |
単一分子による白色発光材料開発の一環として、赤色発光のイリジウム錯体Ir(thq)_2(dbm)を高分子骨格の一部にもち青色発光するフルオレンPFOを主鎖骨格とするフルオレン共重合高分子の有機EL材料として評価を行った。イリジウム錯体の濃度を広範囲に変えた材料について、その光学特性(吸収スペクトル、室温から10Kまでの発光スペクトルおよび励起スペクトル、発光寿命、発光効率、ラマン散乱、赤外分子振動スペクトルなど)を実験的に調べた。照明用白色発光を得るには、2%のイリジウム錯体濃度が最適であることが判明した。さらに高強度発光に至る条件(PFOはベータ相、錯体からPFOへのエネルギー伝達など)を明らかにした。 有機ELの高効率化には燐光材料が最適であることが知られている。しかしイリジウムや白金などの重原子を含む有機材料は高価で資源として希少である。低価格で豊富な資源を用いての燐光発光を可能にする材料の探索のひとつとして、ヨウ素化合物を増感剤として用いる実験を行った。青色発光のポリビニルカルバゾールPVKに赤色発光のスチリル色素DCM2をドープしたものにヨウ素化合物を共添加して、PVKからの蛍光に加えて緑色燐光を発生させることに成功し増感機構も明らかにした。DCM2からの赤色発光の共存により、白色発光が得られた。廉価で豊富な材料でしかも毒性の少ない他の増感剤を検討中である。 青色発光層と榿色発光層との積層による白色発光を得る素子において高効率化を達成するには、発光に導く励起子再結合領域を知る必要がある。そのために中間層を挿入することにより、その領域の幅や位置や分布を調べた。また、各層の膜厚を種々に変えることや、2つの発光層の位置を変えることなどにより、再結合領域が正孔輸送層界面からの間隔が増すとともに指数関数的に減衰していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一白色発光高分子材料の開発には中国の南京郵電大学の協力が得られ、また重原子効果を利用した高効率発光素子の研究には中国の北京大学の協力が得られ、それぞれ国際的に権威がありインパクトファクターの高い雑誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率な白色発光有機EL素子の開発として、積層型で電荷発生層をもつタンデム型素子が有望視されている。電流効率が数倍高くなりまた低電流稼動が可能なので長寿命化が期待できる。次年度はこのタンデム型素子開発に取り組む。そのための準備として、電荷層に用いる材料の選択と積層材料の積層面での界面電子状態を探るための紫外光電子分光の研究に着手し、5月から中国の清華大学の協力を得てタンデム型素子作成とその評価を行う。 一方、非タンデム型素子で、これまで未達成である3V程度の低電圧で1万cdlm^2を超える高輝度が得られる素子を開発するために、材料探索を含めた電子正孔再結合領域の最適化の研究にも取り組む。
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Research Products
(5 results)