2010 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs基板上波長1.55ミクロン量子ドットの高品質化と光非線形素子への展開
Project/Area Number |
22560016
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
杉本 喜正 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合センター, 主席研究員 (60415784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主任研究員 (60391215)
尾崎 信彦 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30344873)
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Keywords | 量子ドット / MBE成長 / 窒素ドーピング / 近接2層構造 / 1.55ミクロン発光波長 |
Research Abstract |
今年度は、近接2層InAs-QD成長によって、GaAs基板上の自己組織化InAs-QDの発光を高品質のまま1.55μm帯まで長波長化させることに着手した。近接2層InAs-QD成長を行い、2層目のQD発光が1層目のQDに対して長波長化するかを確認した。スペーサ層厚10nmにて2層目QDが約70nm程度長波側にシフトした。さらに、成長時間の調整や歪緩和層の導入などにより、1層目のQD発光波長をなるべく長波長化し、2層目のQDを高発光強度を保ったまま1320nmまで長波化することができた。まだ目標値である1.55μmには到達していないが、現在成長メカニズムの観点から様々な条件でQD成長を行い、その発光の変化を系統的に調べている。また、H22年度から着手予定のGaNAsキャップ層に関して、先行して着手した。MBEに窒素プラズマ源を導入し、歪み補償に必要な希釈窒化物の成長条件の探索を行った。具体的には、6nm-GaNAs/AlGaAs量子井戸構造を作製し、その構造及び光学特性を調べた。1nm-GaNAs成長毎に0~30秒窒素をデルタドープする過程を繰り返す事により、GaNAs量子井戸中の平均窒素組成を0.4%~2.8%まで変化させる事に成功した。これにより低温に於ける量子井戸の発光波長は、828nm(0秒)から1040nm(30秒)までレッドシフトした。一方で、発光の半値幅は殆ど変化しておらず、均一性の著しい悪化は生じていない。室温に於ける発光強度はデルタドープ時間0秒と30秒の量子井戸と比較すると約1/40に低下しており、窒素添加に由来する欠陥による非発光性再結合が促進されていると考えられる。しかし、従来報告されている発光強度変化と比較すると小さく、同手法により、少ない特性劣化で、緻密な窒素濃度制御を実現可能であることが分かった。
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