2011 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs基板上波長1.55ミクロン量子ドットの高品質化と光非線形素子への展開
Project/Area Number |
22560016
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
杉本 喜正 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主席研究員 (60415784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 信彦 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30344873)
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主任研究員 (60391215)
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Keywords | MBE / 量子ドット / 二層積層法 / 窒素添加 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に引き続き、希釈窒素添加GaAs成長の探索を行った。GaNAs成長時に成長中断を行い、窒素を局所的かつ周期的に添加する事により、窒素濃度を幅広い範囲で容易に制御する手法を開発した。広い範囲で窒素濃度を制御できるようになった一方で、高窒素濃度の試料表面(表面窒素濃度>~5%)では、三次元の島状構造が形成される事が明らかになった。GaNAs層の平均窒素濃度は、最大でも2.8%であり、GaAsとの格子不整合度は僅か0.57%であるため、SK成長様式の生じるような格子不整合の条件では無い。そのため、高濃度に局所添加された窒素原子が成長様式の変化に寄与している事が示唆されている。また、近接2層InAs-QD成長法によるGaAs基板上の自己組織化InAs-QDの発光を長波長化に関して、本年度(H23)は、前年度に引き続き発光長波長化のための成長条件の最適化を行い、発光波長を1.4umまで長波長化することに成功した。具体的には、2層積層QDの下層QDの成長条件(成長時の原料供給量および基板温度)を最適化することにより、上層QDの長波長化が実現された。これは、下層QDの成長密度を最適化することで下層QDからの歪分布が上層に適度に伝搬された結果と考えられる。現在、発光波長の長波長化と発光強度とを両立する成長条件を詰めており、来年度は最終目標である1.55ミクロン帯への長波長化と高発光強度の実現を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歪み補償とバンドギャップ調整のために必要不可欠なGaNAsの成長制御技術をある程度確立したという点では、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。また、QD二層積層法による1.4umまでの長波長化が実現できた点と、発光長波長化のための最適成長条件および長波長化のメカニズムに関する知見を得たことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
GaNAsとInAs量子ドットとの融合について検討を行う。予備実験の結果、窒素を添加した材料にInAsを混合すると表面モフォロジーが著しく悪化する様子なども観察されており、材料供給シーケンスの最適化が必要となると思われる。また、窒素濃度を高めると島状成長が生じる事が明らかになっており、これがInAs量子ドット成長にどのような影響を与えるかについての評価も必要になる。また、当初の計画通り2層積層成長法で長波長化が得られ始めており、引き続きこの方法による長波長化および高発光強度の実現を目指していく方針で遂行していく予定である。特に、2層積層法による長波長化のメカニズムが分かってきたので、さらに成長条件を最適化していくことが可能と考える。
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