2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 史雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員 (90222009)
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Keywords | 有機半導体レーザー / マイクロキャビティ / (チオフェン/フェニレン)コオリゴマー |
Research Abstract |
本提案では室温での光学特性、伝導特性共に優れた性能を持つ有機半導体材料(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーに共振器量子電磁気学(Cavity Quantum Electro-Dynamics,CQED)が適用できる領域まで微細加工を施し、少ないキャリア注入でレーザー発振が得られるような微小共振器と電流注入デバイス構造とを両立させる有機結晶薄膜作製技術と加工プロセスを開発することに主眼を置いている。TPCO系有機半導体の内、p型であるBP1Tと言う結晶で1mm級の微小共振器の作製に成功し、光励起での発振閾値をバルク薄膜部の2%まで低減することが実現できていた。本年度は同様の手法を用い、TPCO系有機半導体の内、n型であるAC5-CF_3と言う材料で、やはり同様にバルク薄膜部の10%までの閾値低減に成功した。(論文投稿準備中)しかしながら、n型であるAC5.CF3膜ではバルク薄膜部での発振閾値自身がまだ不十分であることが判明しつつある。現状p-n接合を有した有機ELデバイスを試作して電流注入での発光も観測できる所までこぎ着けたが、まだ注入特性は非常に低く、n型薄膜の特性が光学特性と伝導特性の向上両面に関わっている事が判明した。また、p型微小共振器における共振器モードの測定とFDTD計算との比較から、BP1Tにおける有効屈折率などの光学特性が数値的に明らかになりつつある。この結果を用いて2%の発振閾値低減の結果を評価すると、誘導放出増大効果が明らかにあることが分かってきた。(論文投稿準備中)これらの解析を進めると同時に、p-n接合による電流注入性の向上を来年度以降、重点的に進めていく予定である。
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