2010 Fiscal Year Annual Research Report
光熱変換技術を用いた結晶粒界などで光散乱の多い半導体薄膜の光吸収スペクトル測定
Project/Area Number |
22560024
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
碇 哲雄 宮崎大学, 工学部, 教授 (70113214)
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Keywords | 光熱変換スペクトル / 半導体薄膜材料 / 光散乱 |
Research Abstract |
この研究では、光励起されたキャリアの非輻射再結合過程において生じる熱を、圧電素子を検出器として計測する実験手法である高感度PPTS法(光熱変換分光法)を開発し、大きな結晶粒界や組成変動をもつ薄膜半導体光デバイス材料の光吸収スペクトルを測定可能にする事を目的としている。 22年度測定を行った試料として、(1)一つは特に積層型太陽電池や光ファイバー用発光素子として期待されるGaInNやGaInNAsの組成を持つ化合物半導体薄膜があげられる。これらは試料組成の制御が未だ十分でなく、従来は測定した禁制帯幅のIn濃度依存性が理論曲線に乗らないなど、物性を深く議論することが出来なかった。そこで22年度は、更に組成を精密制御した試料を用いPPTS測定実験によって得られたスペクトルを、量子理論モデルに従った数値解析を行って調べ、禁制帯幅や励起子遷移準位を決定する事が出来た。この事により、結晶組成やその均一性が電子帯構造に及ぼす影響を解明した。(2)二つ目としては、特に試料表面及び内部での光散乱の大きいZnO薄膜に対して、22年度はナノロッド、ナノワイアについてのPPTS測定を行い、表面、界面の面積が大きい量子構造の光吸収スペクトルを測定できた。 更に、これらの実験結果は同じ試料に対して測定を実施する事により得られたPhotoreflectanceやPhotoluminescenceのスペクトルの実験結果と比較して、定性的かつ定量的な議論を行い、電子遷移の機構を解明した。これらの成果はE-MRSなどの国際会議で発表し、外国の研究所の注目を引くことが出来た。
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Research Products
(10 results)