2012 Fiscal Year Annual Research Report
電子ビーム照射による試料帯電の広範囲ナノメートル分解能・リアルタイム計測技術開発
Project/Area Number |
22560026
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小寺 正敏 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40170279)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 電子ビーム機器 / 試料帯電 / 電位分布 / 静電気力顕微鏡法 / 加速電圧依存性 / 電子散乱のシミュレーション / フォギング電子 |
Research Abstract |
本研究では、電子ビーム照射による絶縁物試料表面の帯電電位の測定を行うことができる静電気力顕微鏡システムを完成した。当初の予定通り、表面電位を測定するのに零位法を用いて、測定プローブのたわみを圧電素子で感知し、圧電ひずみ抵抗の変化をブリッジ回路で検出した。表面電位を相殺する電圧を試料裏面に印加することでプローブが最も試料表面から離れることを利用して10mV程度の精度で数mmの範囲の表面電位分布を測定することに成功した。また、空間分解能として約50μm程度の分解能が得られた。 この静電気力顕微鏡システムを用いて、フォトマスク試料に電子ビームを照射した場合に加速電圧が1kV以下の時には正帯電、1~3kVの時には-50Vに達する大きな負帯電、3~10kVの時には正帯電する様子を世界で初めて計測することができた。さらに、広範囲表面電位分布測定を行うことにより高加速電圧の際には表面電位分布は単純な凸型分布ではなくW型の分布となることが初めて計測できた。表面電位の二次元分布測定では帯電電位の時間変化を補償する方法を確立し、対称性の良い二次元分布を求めることが可能となった。電位分布がW型となることに関して従来はモデルとしてのみ存在し説明されてきたがそれを実証する装置は存在しなかった。本装置の開発によってその定量値を得ることができ、実証することができた。 一方でこのような電位分布が現れる原因について電子散乱のシミュレーションを行い、試料内での電子電荷蓄積だけでなく試料表面から放出された反射電子が、対向する対物レンズ底の金属面との間で多重散乱するフォギング電子の影響を見積もった。上記W型の電位分布の原因として試料内の電子ビーム誘起導電現象とフォギング電子の影響をそれぞれ定量的に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)