2011 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算解析による炭化ケイ素半導体デバイス酸化膜の界面欠陥解明に関する研究
Project/Area Number |
22560029
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮下 敦巳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00354944)
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Keywords | 炭化ケイ素半導体 / 界面物理 / 第一原理計算 / 界面欠陥 / 分子動力学 |
Research Abstract |
近年、4H-SiC(0001)面基板(C面基板)を用いたトレンチゲートMOS-FET構造での側壁面に当たる(11-20)面で、非常に良いチャネル移動度が得られる事が報告されている事から、4H-SiC(11-20)基板(A面基板)上にゲート酸化膜としてアモルファスSiO_2(α-SiO_2)を生成し、その界面構造を評価した。モデルの生成は第一原理分子動力学法を用いた加熱・急冷法にて行った。まず、A面基板上にβ水晶を接続した構造である、シリコン240個、炭素120個、酸素228個、水素48個を含む636原子による原子構造モデルに対して、4000K-2ps及び3500K-2psの加熱を行いSiO_2層を溶融した後、-1000K/psの速度で室温まで急冷を行った。得られたSiO_2層を動径分布関数(RDF)解析した所、結合距離、及び、結合角共にシリカでの実験値を良く反映しており、且つ、長周期構造を示す微細構造が失われている事から、良好なアモルファスSiO_2層が再現されている事が確認された。 α-SiO_2/4H-SiC(11-20)界面近傍のSiO_2層には、Siダングリングボンド、3配位のO等の欠陥が存在した。界面はほとんどがSi-O結合により形成されていたが、他にSi-Si結合、C-O結合、SiおよびCダングリングボンド等の欠陥が存在していた。 生成されたa-SiO_2/4H-sic(1120)界面原子構造モデルに対して電子構造解析を行い状態密度関数を導出した。バンドギャップ中にはシリコンおよび炭素のダングリングボンドによる欠陥からの準位が生成されていたが、それらの欠陥準位はダングリングボンドを水素終端にする事によって消滅させる事が可能であり、SiC酸化膜界面に対する水素アニーリングの効果が理論的解析から確認出来た。ダングリングボンドからの欠陥準位はバンドギャップ中央付近のエネルギーを持っていたが、3配位酸素とシリコンのペアによる欠陥、及び、水素終端に伴う電子構造変化によって変位した界面Siからの欠陥エネルギー準位が導帯下端付近に存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画にそって、(11-20)面を基板とする界面構造の生成と電子構造解析を進めており、当初の計画通り順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)生成されたSi面、C面およびA面モデルへの欠陥導入 4H-SiC(0001)面、(000-1)面及び(11-20)面の各基板モデルにおいて界面に欠陥導入を行う。その後、アニーリング及び構造最適化を行い、欠陥導入に伴う原子構造の歪を緩和する。 (2)原子構造モデルの電子構造解析 生成された欠陥モデルの電子構造解析を行うと共に、HアニーリングやNOアニーリング等の界面処理法に相当する原子構造の修飾を行い、それぞれのモデルに付いて電子構造解析を行う。
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Research Products
(2 results)