2011 Fiscal Year Annual Research Report
面発光型半導体レーザ(VCSEL)の特性の改善とその応用に関する研究
Project/Area Number |
22560035
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 孝 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10143752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河 正志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90213644)
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10361891)
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Keywords | 面発光型半導体レーザ / 半導体レーザ / 物理乱数 / 周波数雑音 |
Research Abstract |
面発光型半導体レーザ(VCSEL)の特性改善を行い、より広い分野に応用可能なレーザとすることを目的として研究を行った。VCSELは通常の半導体レーザと比べてその電流経路が大きく異なる。このため、磁界を電流と平行に印加して電流の拡散を防ぐことで、高いキャリア密度を実現し、光出力の増加そして横シングルモード化を目指す研究を行った。 またVCSELは広帯域な周波数雑音特性(20GHz程度)を持つので、吸収線付近でVCSELが発振していると、レーザ光強度が高速でスイッチングされ大きな光強度雑音が観測される。この光強度雑音が物理乱数として利用できると我々は考えている。この周波数雑音特性を利用した超高速物理乱数の生成を行う。平成22年度には、Fabry-Perot型半導体レーザを使用して40Gb/sの超高速物理乱数生成に成功した。これを更に高速化するため、VCSELを用いて実験を行った。そのためには、VCSELの発振の中心周波数を安定化が必要である。但し、この際の制御は比較的「遅い」制御のみとしてVCSELの瞬時瞬時の周波数はVCSEL自身の揺らぎに任せるようにする。これで、VCSELの発振の中心周波数はRb原子の吸収線に一致し、瞬時瞬時の発振周波数はその高速周波数雑音により凡そ数GHzの範囲で変動するという状況が実現される。その結果、Rbセルが周波数変化を光強度変化に変換する装置の役割を果たし、半導体レーザの周波数雑音から光強度雑音が生成された。この信号を高速のA/Dコンバーターで2進数に変換し、例えばその最下位のビットを集めて2進数の列を作るとそれは目的とする物理乱数となる。実験の結果、40Gb/sの超高速の乱数生成に成功し、国際会議その他で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VCSELを用いた磁界印加による特性改善の実験並びにVCSELの周波数雑音を用いた乱数生成の実験は成功し、国際会議レベルでの発表を行っているが、まだ学会誌レベルでの公表をするまでのデータの蓄積がなされていないから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験データを蓄積し、実験結果の再現性を確認することで、学会誌に投稿して発表するとともに、半導体レーザの周波数雑音を積極的に用いて、光計測、光通信、コンピュータシミュレーションなどの分野での新たな半導体レーザの応用を開拓して行きたい。
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