2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子ビームと表面プラズモンとの相互作用を利用した電磁波光源の開発
Project/Area Number |
22560036
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桑村 有司 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (10195612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 実 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (80110609)
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Keywords | 表面プラズモン / 電子ビーム / 電磁波光源 |
Research Abstract |
本年度は,電子ビームにより表面プラズモン・ポラリトン(SPPと略す)を金属回折格子上に発生させて,波長2μm近傍の光を出力する検証実験を試みた.電子ビームを利用して0.5μm周期の銀回折格子1と真空界面に局在するSPPの発生を確認するため,真空界面に沿って電子ビームを走行させた.速度Veの電子が縦波の電流源となり,速度VspのSPPの電界を励振してVe=Vspの条件でSPPが発生する.SPPは,電子ビームの進行方向とは逆方向の後進波で,波長は1.8~2.1μm帯である.この波長帯のSPPは数百μm伝搬可能である.そこで,発生したSPPを回折格子1に沿って数十μm伝搬させ,隣接して設けた1.8μm周期の銀回折格子2を利用して真空側に90度程度回折させて,光出力として取り出す計画で研究に取り組んだ. 回折格子から真空側への光出力を観測したところ,従来から知られているスミス・パーセル放射の他に1.9μm近傍にピーク波長を有する光放射も観測されたが,その光強度は弱かった.現時点では,観測された1.9μmのピーク波長の光放射が,提案しているSPPの関与した発光であることを実証するには至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
電子ビームによる表面プラズモン・ポラリトン発生の実証実験が難航している.Si基板上に凹凸周期構造を形成したあと,銀を蒸着して銀回折格子を作製してきた,銀膜圧は0.1μm以上にしているが,電子走行により銀/真空界面で発生した表面プラズモンが,Si基板側に光放射してしまい,光検出を行っている真空側へ光が効率よく出力されていない可能性がある.現在,回折格子の構造や検出方法について再検討を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究目的は,電子ビームを利用した光~赤外帯およびミリ波帯での波長可変可能な電磁波光源の開発である.前者については,銀回折格子の構造を改良して,引き続き表面プラズモン・ポラリトンを利用した光源の可能性について実証していく.ミリ波帯の電磁波源については,当初計画を変更して,高屈折率ミリ波導波路を利用する.高屈折率導波路を利用してミリ波の速度を光速の1/3に遅くして,ミリ波と電子ビームの速度を一致させるとミリ波発生や増幅が生じる.金属/GaAs単結晶/真空で構成した導波路を伝搬しているミリ波は,その電界の一部が真空中に染み出しているので,この領域に沿って電子ビームを走行させて,ミリ波増幅や発生を行う.RF発振器からミリ波を導波路に入力して,出力されるミリ波が電子ビーム走行により増幅することを実証する計画である.
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