2011 Fiscal Year Annual Research Report
搬送波位相制御・オクターブ幅・赤外波長帯域・サイクルパルスレーザー光の高出力化
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22560037
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
張本 鉄雄 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80273035)
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Keywords | アト秒レーザー / 非線形光学効果 / 光パラメトリック増幅 / チャープパルス増幅 / レーザー安定性 |
Research Abstract |
本研究は、アト秒物理学及び高強度レーザー科学の研究に必要なレーザードライバーの光学設計法を考案し、BIBO結晶及びそのタイリング化をしたものを光パラメトリックチャープパルス増幅器(OPCPA)とした搬送波位相安定・ペタワット出力・オクターブバンド幅・赤外波長帯域・サイクルパルスレーザー光の発生を目的とする。 本年度では、研究代表者が提案したOPCPAにおける励起光と信号光を時間的に遅延させ励起光パルスを信号光パルスの立ち上りと立下り部分に別々に合わせる増幅方式を用いた蛍光の寄生増幅の抑制について理論的に検証した。また、タイリング型BIBO結晶を用いた大口径OPCPAの最適化設計も行った。これらの研究の実施に当たって、OPCPAの基礎となった二次の非線形光学効果における小信号区域と飽和区域の動的特性を解析的に明らかにすることができた。特に位相不整合による最適な非線形光学結晶長の最適化に関しては解析的手法を完成することができた。 これまでの研究で信号光の増幅結果が励起光のピーク強度の安定性に大きく左右されることから、励起光レーザー強度の安定化は新たな課題として浮上してきた。OPCPAシステムとして非線形光学効果を用いることから、励起光の安定性のためには同じく二次の非線形光学効果の利用が望まれている。このようなニーズに応えるために、研究代表者は励起光のレーザー光強度の安定化を新たな研究内容として取り入れ、第二高調波発生による励起光の安定化方式の検討を始めている。安定したサイクルパルレーザー光の発生に必要な技術として、位相不整合を利用したレーザー光の安定化の可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな技術課題として励起光レーザー強度の安定性向上が実験研究の壁になってきて、実験に関する内容はやや遅れている状況にあるが、第二高調波発生を利用したレーザーピーク強度の安定化技術を新たに考案し、研究全体としては概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
励起光レーザー強度の安定性課題を次年度の早い時期に解決することが最も急務である。また、当初計画の通り、搬送波位相安定・第一段OPCPA・ビームエクスパンダ・第二段OPCPA等の全光学系の最適化設計法を確立する。
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