2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560042
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
向井 孝彰 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10419674)
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Keywords | 位相共役 / セルフポンプ位相共役鏡 / 広ストライプ半導体レーザ / ブロードアリア半導体レーザ / 位相共役光共振器 / 発振線幅 / 半導体増幅媒質 |
Research Abstract |
1.本年度は、広ストライプ半導体レーザへの斜め光フィードバック実験を新たに発散球面波を用いて開始した。フィードバック角度θ=0°の垂直光フィードバック(A)では発散球面波のために光フィードバック効率が激減したのに対し、θ=4°の斜め光フィードバック(B)では発散球面波を用いているにもかかわらず、平行平面波を用いた前年度の実験と同程度の光フィードバック効率を実現することができ、その結果、前年度と同程度の30%~40%の位相共役反射率を実測することに成功した。この実験結果は、発散球面波が位相共役鏡で反射された後に収束球面波として厳密に入射光の経路を逆向きにたどるという位相共役鏡に特徴的な「波面の反転作用」を実証したものである。 2.さらに、(1)発散球面波に対する平面鏡による光フィードバック距離Lを大きくすることで光フィードバックパワーを減少させる、あるいは、(2)一定長Lのフィードバック経路に透過率の異なる光減衰版を挿入して光フィードバックパワーを変化させる、の2種類の独立した実験を行なった結果、位相共役反射率が30%~40%以下の領域でフィードバック光パワーに比例して減少することを実験的に見い出した。 3.上記の1.の実験結果は、発散球面波入力光に対しても位相共役光が発生し、セルフポンプ位相共役鏡として動作していること、また2.の実験結果は、発散球面波を用いた短共振器構成により、フィードバック光パワーを更に増大して、位相共役鏡反射率を増加させ得る可能性を実験により明らかにしたものであり、セルフポンプ位相共役鏡半導体レーザの自励発振に向けての重要なマイルストーンと位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、セルフポンプ位相共役鏡の自励発振を早期に実現して、その出力光の強度雑音スペクトルや発振線幅を実験的に明らかにする予定であったが、まだ、自励発振には至っていない。しかし、位相共役鏡の反射率は、平面波入力光と球面波入力光の両者に対して30%~40%の値を実測しており、この反射率をあと3倍程度増強して100%を超えることができれば、自励発振を開始できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で新たに見出した位相共役反射率のフィードバックパワー依存性に基づき、発散球面波を用いた短共振器構成によりフィードバック光パワーを更に増大して、位相共役反射率の更なる向上を追及し、セルフポンプ位相共役鏡半導体レーザの自励発振の実現に繋げる。
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Research Products
(2 results)