2011 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス発生への適用を目指した傾斜型擬似位相整合デバイスの研究
Project/Area Number |
22560046
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石月 秀貴 分子科学研究所, 分子制御レーザー開発研究センター, 助教 (90390674)
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Keywords | 擬似位相整合 / 周期分極反転 / 波長変換 / ニオブ酸リチウム / タンタル酸リチウム / 電界印加 / コングルエント組成 / Mg添加 |
Research Abstract |
本研究は、傾斜型の擬似位相整合(Quasi Phase Matching,QPM)構造を備えた超大口径の非線形光学デバイスの実現と、その超短パルス発生への適用を最終目的とし、研究2年目である平成23年度は、以下に示すように、主に実際の素子作製と基本的評価を実施した。 ・前年の検討結果をもとに、用いる強誘電体結晶としてMg添加コングルエント組成ニオブ酸リチウム(MgLN)を選択し、実用的な利用形態や非線形光学波長変換における効率等を考慮した結果、QPM素子口径拡大に適した結晶傾斜角度65°、結晶厚2mm、結晶内部分極反転周期約30ミクロンの条件で、素子作製を行い、この後の光学実験での利用に供しうる素子を実現することができた。 ・光学実験による評価を実施するため、作製した傾斜型QPM素子の両入出力面を光学研磨し、波長1.064ミクロンレーザー光(パルス幅35ピコ秒)励起の光第二高調波発生による素子面内評価を行った。その結果、作製した素子面内において、8mm×11mm以上の有効開口が実現できていることを確認した。これは従来我々が実現していた5mm厚QPM素子を用いて作製できる素子開口サイズを大きく凌駕するものであり、傾斜型QPM構造による超大口径QPM素子実現の可能性を確信させるものである。 本年度の結果をもとに研究最終年度である次年度では、光パラメトリック波長変換実験を行うことで傾斜型QPM索子の超短パルス発生への適用可能性を検討する。禽
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全3年計画である本研究は、当初計画にしたがい、初年度に傾斜構造素子実現のための材料および作製条件の探索、2年目に実際の素子作製と基本的評価を、順調に実施してきている。このことから、2年目までは当初計画をほぼ完全に達成していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度では、主にこれまでに作製および初期評価を行ったデバイスを利用して、光パラメトリック波長変換実験による特性評価を実施する予定である。 実験にあたっては、既存の1ミクロンピコ秒パルスレーザー(パルス幅35ピコ秒)を主として用い、出力の空間特性やスペクトル特性を表かする。これに加え研究代表者の所属するグループにて開発・研究を行っている小型高輝度のマイクロチップレーザー(360ピコ秒)も利用することで励起パルス幅依存性等の評価も実施する。 以上により、傾斜型擬似位相整合素子の有効性を確認する。
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