2011 Fiscal Year Annual Research Report
光伝導素子を用いたテラヘルツ波キャリアの光学的抽出技術の研究
Project/Area Number |
22560047
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
兵頭 政春 独立行政法人情報通信研究機構, 経営企画部・評価室, プランニングマネージャー (30359088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 伸吾 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所・超高周波ICT研究室, 主任研究員 (80272532)
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Keywords | 光源技術 / テラヘルツ/赤外材料・素子 / 先端的通信 |
Research Abstract |
研究計画の2年度目においては、初めにテラヘルツ波の発生実験を行うための励起光集光光学系の開発を行った。2台のレーザーからの出力光を偏波保持型光ファイバに導入し、3dBカプラで混合したのち、EDFAを用いて10mW程度のパワーにまで増幅した。増幅したレーザー光をコリメートし、顕微鏡対物レンズを用いてスポット状に集光し、波長1.55μmの光に感度を有するダイポール型アンテナを備えたInGaAs光伝導素子の間隙部に向けて照射した。ピンホールを通過する光パワーの大きさから見積もった集光スポットの直径は15~20μmであり、ほぼ期待通りの集光性能が得られたことを確認した。InGaAs素子はダークカレントが大きいため、ロックインアンプを用いて光電流成分だけを高感度に検出する手法を開発するなどの工夫を行った。 上述の通り励起光集光光学系の開発は完了したものの、照射実験の実施中に素子の劣化が急速に進み、テラヘルツ波の発生確認に至らないまま素子が使用不能となった。この結果から、InGaAs光伝導素子は、一般に知られているよりもレーザー光に対する耐性が低い可能性があることが示唆され、光伝導素子設計上の重要な知見が得られた。劣化のメカニズムについて検討を行うとともに、特性がよく知られ、劣化が生じにくい近赤外光用の光伝導素子を急遽整備した。 また、光伝導素子によるテラヘルツ波発生及び検出周波数領域は、パルスレーザーを使った場合のみ研究されており、光励起電荷の寿命とパルスレーザーの時間巾のみ検討されており、CW光による発生に必要な素子特性に関しては明らかではない。そのため、熱処理温度を変えた様々な素子基板とテラヘルツ波帯の透過反射率の予備的な測定を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は予期しなかったレーザーチップの納期の遅れや、光伝導素子の急速な劣化により、当初予定していた位相同期ループの評価実験や光コムとの位相同期実験の実施に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は波長1.55μm用の光伝導素子を使用して実験を行う予定であったが、素子の急速劣化のリスクを排除するため、特性が安定している近赤外光用のLTG-GaAs光伝導素子に置き換えて研究を継続することとする。この場合、レーザー装置も置き換える必要があり、1.55μmのレーザーに比べて発振波長の制御能力が劣るため、位相同期の品質が損なわれる結果となるが、研究の遂行自体には大きな支障は生じないと考えられる。
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