2011 Fiscal Year Annual Research Report
2軸加速度及び1軸角速度の検出可能な高性能振動型センサの研究
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22560055
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
菅原 澄夫 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00007197)
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Keywords | 加速度センサ / 角速度センサ / 振動子 / 共振周波数 / 振動型センサ / 有限要素法解析 / 軸力 |
Research Abstract |
1.1軸角速度センサの詳細設計と試作 2軸加速度センサに組み込む1軸角速度センサとして取り上げた4脚及び3脚音さ構造の底部固定端の振動変位の低減化を引き続き実施した。また、これらの構造を用いた2軸構成の可能性についても検討した。解析結果によると、これらの構造では、駆動及び検出周波数の差を大きくすると、底部変位は大きくなることが分かり、特に4脚音さ構造では他の不要振動も接近するので1設計には注意を要する。最終的には、両構造とも10^<-3>オーダー程度の底部固定端変位比が実現された。当初計画では、試作実験までを予定していたが、解析に時間を要したため、実験試料の試作は終了したが、実験的検証については次年度に実施したい。 2.2軸加速度センサの高性能化 周波数変化型の2軸加速度センサ構造の質量非対称に伴う質量回転が存在すると、検出軸以外の他軸の加速度の影響がわずか発生し好ましくない。このため、昨年度提案した質量の重心移動による方法とは異なる新しい方法を詳細に検討した。本方法は、4本の折り曲げ支持棒のうち2本だけ同時に寸法調整して、非対称構造質量の回転運動を無くし直線運動させるものである。 3.2軸加速度センサと1軸角速度センサを組み合わせた複合型センサの設計と試作 上記の各センサの研究成果を活用して、高性能複合型センサの設計と試作を実施した。その際、加速度センサ用横振動子と角速度センサの板厚を同じに設計できれば、製造工程上きわめて好都合である。この観点から、角速度センサの板厚に加速度センサ用振動子のそれを一致させた設計を実施すると、加速度センサとしての感度低下が発生するため、さらに詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2軸加速度センサについては、これまで2軸間の信号漏れを著しく低減させる高性能化の手法を考案した。一方、角速度センサについては、横置き型の2種類の音さ構造を利用して、固定端となる底部の振動変位を低減させた設計が可能であることを明らかにした。これらの結果から、加速度センサ用振動子と角速度センサを同一基板上に作成しても、各振動子間の振動エネルギー漏れによる機械的結合が著しく低減化できることは容易に推測できる。最終年度では、当初計画通りこれらセンサから構成される複合型センサの実験的検証とその特性改善を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、加速度と角速度の検出を一つのデバイスで著しく複雑な駆動検出回路を利用して実施する他の方式とは異なり、加速度と角速度の検出を別々の部分で分担する一つの新しいデバイスを開発していることに相当する。他の方式では、加速度と角速度の信号の分離などが難しく、さらにデバイスがダメージを受けると、加速度及び角速度の全てが検知不能となる場合が多い。これに対し、本デバイスでは両信号の分離が極めて良好であり、ダメージを受けても加速度或いは角速度何れかのセンサが継続して動作する可能性が大いに期待できる。残された課題としては、加速度センサ構造はマスプロに適した典型的構造と言えるが、角速度センサを複合化させた場合に生じる問題をさらにデバイスのマスプロ化の観点から解決し、製造法までも考慮した最終的構造を明らかにしたい。
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