2011 Fiscal Year Annual Research Report
加工食品の安全管理に対するアルゴリズム・サイエンスからのアプローチ
Project/Area Number |
22560066
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
軽野 義行 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80252542)
|
Keywords | アルゴリズム / 数理工学 |
Research Abstract |
本研究では,加工食品の安全性と顧客の安心感を確保するため,パッキングを軸とした製造システム及び供給連鎖ネットワークを対象として,数学モデルの構築とアルゴリズムの設計を行っている.パッキングの製造システムに関連する実施内容としては,国際論文誌における研究成果発表を行った.具体的には,正味量を適正に保ちながら,鮮度劣化を防ぐ等の二次的な評価規準を考慮した食品袋詰めの離散最適化モデルに対して,実機での使用に耐えうる計算時間での動作を目指した疑似多項式時間アルゴリズムを議論した.また,その中では,過去の研究では殆ど言及されていない極小性を有する食品組合せの求解法についても議論した.供給連鎖ネットワークに関連する実施内容としては,英文論文誌や国際会議における研究成果発表を行った.主要な成果としては,連続する流通情報のやり取りの一表現として二部グラフを用い,そのネットワーク上の離散最適化モデルに対して,計算の複雑さと精度保証を持つ近似アルゴリズムを議論した.なお,興味深いことに,この数学モデルはある組立システムで生じる最適化問題でもある.現時点では,後者のモデルとしてとらえる方が直接的な有用性を理解しやすいかもしれない.その他,まだ近似困難性(あるいは近似可能性)については議論を深めていく余地が残っているものの,保管施設のスケジューリングや配送システムの資源割当についても,ネットワーク・アルゴリズムの設計を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加工食品のパッキングの製造システムに関連する研究では,将来期待されるシステムの機械的な性能向上を見越したレベルで,パッキングの高速計算可能なアルゴリズムの設計基盤を確立している.また,供給連鎖ネジトワークに関連する研究においても,現時点では原始的な数学モデルに対してのみながら,精度保証を持つ近似アルゴリズムの構築に成功している.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は,計画通りおおむね順調に進展しているので,大幅に研究計画を変更することは予定していない.最終年度においても,パッキングに関連する数学モデルの拡張および多項式時間近似スキームの検討は,当初の計画の遂行に支障のない範囲で継続していきたい.また,供給連鎖ネットワークに関連する数学モデルについては,理論解析のみならず,計算実験による分析も強化する方向に持っていく.なお,消費者に届く加工食品について,震災後,有害物質の含有量(あるいは含有率)に対する関心が非常に強まっている.本研究課題の開始時には予想しなかった状況ではあるが,計測機器側とアルゴリズム側の協調で改善可能となる事項を明示するよう心掛けたい.
|