2010 Fiscal Year Annual Research Report
帰納的次元縮小定理に基づく線形方程式ソルバーの新展開を目指した研究
Project/Area Number |
22560067
|
Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
阿部 邦美 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (10311086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 清次 九州大学, 情報基盤センター, 教授 (40264965)
|
Keywords | 線形方程式 / Krylov空間法 / 帰納的次元縮小定理 / Induced Dimension Reduction法 / 一般化積型解法(GPBiCG) / IDRstab法 / スムージング技法 |
Research Abstract |
線形方程式のソルバーであるKrylov空間法は,過去50年以上にわたり,様々な研究が行なわれノウハウが蓄積されてきた.一方,2007年,Krylov空間法とは異なる原理から導出されるInduced Dimension Reduction(帰納的次元縮小,IDRと略す)(s)法と呼ばれる新たな解法が提案された.さらに,IDR(s)法は係数行列とs本のあるベクトルで張られるブロックKrylov部分空間上で近似解を作るBiCGSTAB法(従来のBiCGSTAB法は係数行列と1本のあるベクトルで張るKrylov部分空間上で近似解を作る)と解釈できることが明らかにされた.そこで,本研究では,従来のKrylov空間法が発展してきた中で活用されたアイディアをIDR(s)法に取り込むことにより,新旧の解法の長所を活かした従来より収束性に優れた解法の開発すること,および先に行なわれた研究で用いられた解法を本研究で開発した解法に置き換え,性能向上を目指した.22年度は次のような研究に取り組んだ. まず,第一に,従来の解法である一般化積型解法(GPBiCG)で使用されている2次の安定化多項式をIDR(s)法に組み込んだ解法を開発した.また,開発過程において,いくつかのGPBiCG法の変形版を開発し,従来よりも有効であることを示した. IDR(s)法を利用した場合,漸化式で求められる残差と真の残差に差が生じることがある.そこで,第二に,IDRstab法(IDR(s)法にL次の安定化多項式を組み込んだ解法)に擬似残差最小化法と数学的に同値なスムージング技法を実装したアルゴリズムを開発し,滑らかな収束性と残差ギャップの改善を実現した.同時に,計算時間を短縮することができた.
|
Research Products
(5 results)