2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560072
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 謙一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50114278)
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Keywords | クリープ / 微小サンプル / 余寿命評価 / SPC試験法 / 環境効果 / 硬さ |
Research Abstract |
微小サンプルクリープ試験法の一種である、スモール・パンチ・クリープ(SPC)試験に影響する各種因子のうち、下部ダイ穴・肩部半径と試験雰囲気(大気・真空(10-3Pa))について実験的に検討した。 前年度と同じロットによる1000時間超の長時間試験を行った結果、破断寿命400時間以下の負荷条件では試験雰囲気や下部ダイ穴・肩部半径の影響が明瞭に現れた。しかしながら500時間越えの破断寿命ではこれら外的条件に拘わりなく、ほぼ同一破断寿命となった。破断時間が1000時間を越える試験条件では、真空下で酸化減肉がなかったにも拘わらず、破断寿命が低下した。一方、大気中の試験では試験片表面に酸化皮膜が10%ほど形成されたものの、破断寿命は急減しなかった。この原因は未だ不明で、今後の検討課題として残された。なおSPC試験での破断時間と最小変位速度との間にはMonkman-Grantの関係がFactor of 2の精度で成立した。その結果、最小変位速度を計測すると、余寿命推定を容易に行えることが示唆された。同一破断時間に対する、単軸クリープ試験での応力とSPC試験での荷重との比は1.6~2.1mm^2となった。これら比は破断時間や試験雰囲気や下部ダイ穴・肩部半径に依存した。このほか、試験材料の2.25Cr-1Mo鋼はそのままに、ロット(新材:粒度番号7、ビッカース硬さHV138、旧材:粒度番号8、ビッカース硬さHV187)を変化させて一連のSPC試験を実施した。新材では、同一の試験荷重でも破断寿命が旧材の約1/10となり、結晶粒径や硬さが破断寿命に大きく影響することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クリープ試験は一般的に長時間試験が基本である。試験環境を変化させながら1ヶ月(720時間)以上の試験時間を要する貴重な試験データも収集した。その結果、従来、真空中と大気中では寿命が異なると考えられていた、500時間を越える長時間破断寿命側では、これらに余り差がないことを明らかにした。このほか、ダイ肩部半径が破断寿命に与える影響についても明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
長時間破断寿命側で、大気中・真空中の差は顕著となると予測されたが、今回の実験ではその差が現れなかった。今後、破断面内の組成成分分析、数値計算等により、上記原因を探る。
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