Research Abstract |
三年間の科研費(c)の二年目である平成23年度には,二段式軽ガスガンを用いて加速させたアルミニウム合金球をアルミニウム厚板に斜め衝突させ,超高速衝突時のイジェクタを詳しく調べた.交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,ターゲットをアルミニウム合金(A6061-T6,直径95mm,厚さ30mm)にし,直径3.2mmのアルミニウム合金球(A2017-T4)を用いて実験を行った.衝突速度は4~6km/sとした.ターゲット前方50mmの位置に検証板を設置し,衝突痕を詳しく調べた.検証板は150×150mmの銅板で,,中心に飛翔体が通過する穴(直径30mm)を設けたものを使用した.また,飛翔体衝突後のイジェクタ挙動を高速度ビデオカメラ(VisionResearch社製,Phantom V710)で撮影した.飛翔体が通過する穴などには工夫が必要であったが,ほぼ「研究実施計画」どおりに実験を実施することができた. 衝突角度0°(垂直衝突)~15°では,クレータ形状にはあまり差が見られず,イジェクタのサイズ分布にもあまり差が見られなかった.衝突角度が40。より大きくなると,イジェクタの噴出量が急激に低下していくことがわかった.それらの結果を「13.研究発表」に示す雑誌論文および口頭発表により公表した.また,上記の実験結果から,イジェクタ回収の観点から考えると,垂直衝突より,10°程度傾けた衝突の方がイジェクタの回収率が高くなる,つまりイジェクタの回収実験には適していることがわかった.一方で,角度の影響とともに行った高温での衝突実験では,高温になるほどイジェクタの量が多くなると予想し実験を行ったが,平成22年度に行った低温に比べ,あまり差がみられない結果が得られてしまった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の改良に時間がかかってしまい,斜め衝突に関する実験データが若干少なく,考察が不十分な部分もある.温度の影響では,思ったほど差が見られない結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度は,飛翔体が斜め衝突した場合のイジェクタに与える影響を主に調べ,さらに,その際のイジェクタの回収では,軟回収法を試みる.これまでの三年間の結果を元に考えたイジェクタ生成メカニズムについての仮説を確かなものにするとともに,次の研究指針を明確にする.
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