2011 Fiscal Year Annual Research Report
異なるガス環境における疲労き裂伝ぱ速度の統一的評価とその限界
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22560085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾田 安司 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20091340)
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Keywords | 金属疲労 / 環境疲労 / き裂伝ぱ / 水素 / すべり / その場観察 |
Research Abstract |
1.試験装置については、ガス環境中の疲労き裂伝ぱ挙動を直接観察するためのガスチャンバーに装着する顕微鏡用観察窓を作製、また試験チャンバーを真空にするための部品を追加作製したが、疲労試験装置の荷重検定段階までには至らなかった。 2.疲労き裂伝ぱ挙動に関連しては、曲げ疲労試験機で窒素ガス中、水素ガス中で疲労き裂伝ぱ試験を行った試験片および水素を材料内に導入(水素チャージ)して疲労試験した試験片の破面について、主に走査型電子顕微鏡を用いた観察を行った。注目した点は、破面形態に及ぼす試験環境の影響および疲労試験繰返し速度の影響である。窒素ガス中で試験した破面では、大気中で観られるような通常の延性ストライエーション状模様破面が多くを占めていた。一方、水素ガス中および水素チャージした試験片破面では、延性ストライエーション状模様破面(粒界破面も混在)から、さらに速いき裂伝ぱ機構であるぜい性ストライエーションを伴う擬へき開破面への遷移挙動が観られた。そして、その遷移挙動は、疲労試験の繰返し速度に依存する結果が得られた。これは、き裂先端でのすべり挙動に及ぼす水素の影響により生じていると考えられる。遷移前のき裂伝ぱ速度はき裂先端すべりと関係づけられる可能性がある。 3.疲労き裂先端で直接き裂伝ぱ速度に関係するすべりを明らかにし、その限界をしるためには、き裂先端におけるすべり挙動観察が必要と考えられる。そのための純鉄多結晶およびひずみ焼鈍し法で作製した粗大粒の微小CT試験片を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自作の疲労試験装置の設計見直しなどで、予定部分の完成が遅れている。 そのため、疲労き裂伝ぱ挙動の調査は、別試験機でも可能な範囲の、破面からのみの調査となった。
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Strategy for Future Research Activity |
試験装置について、完成を急ぐ必要がある。 軸荷重試験装置を用いた、試験片方面におけるすべり挙動を調査する。 今年度の破面観察の結果から、き裂伝ぱ挙動の遷移(通常すべり挙動によるき裂伝ぱの限界)に関連して、多結晶材料の破面調査も継続する。
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