2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系およびNi-Ti系合金における擬弾性効果発現条件の探求とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
22560091
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
納冨 充雄 明治大学, 理工学部, 教授 (70218288)
|
Keywords | 形状記憶合金 / 擬弾性効果 / 電子顕微鏡観察 / ポテンシャル解析 |
Research Abstract |
真空蒸着によって作成されたNiTi薄膜を透過型電子顕微鏡で観察するためのNaCl基板利用を検討した.特に問題となるのは,基板の表面性状が薄膜に転写されることであるが,セラミック板上の窪みに融解凝固によってNaClを流し込み,空冷によって平滑な基板が製造できることを明らかにした.さらに,この基板を用いて,多結晶NaCl上でAl薄膜は規則構造を有して成長することおよびNi-Ti薄膜は残留した水分の影響で熱処理によって表面に黄金色の酸化膜が生じることを明らかにした. 線材および棒材において微量添加元素PとSiが低炭素鋼の擬弾性特性発現の可能性について検討した.Siを添加することにより固溶強化の影響により降伏応力は増加した.普通棒材は焼き入れ,200℃の焼き戻し,400℃の焼き戻し材において格子定数は増加するのに対して,Si添加棒材は減少した.負荷除荷繰返試験の結果,擬弾性効果は確認されなかった. ポテンシャル解析により,Ti-Ni合金のマルテンサイト変態の導入は,すべりよりも容易に起こるが,Feの場合ではマルテンサイト変態よりもすべりの方が生じやすい.さらに,過剰なエネルギを加えた場合は,結晶内に欠陥が導入されるため,不可逆的なマルテンサイト変態となる.これらは示差走査熱量計による解析からも示唆された.
|
Research Products
(3 results)