2010 Fiscal Year Annual Research Report
等方加圧による高密度ナノ有機半導体薄膜の創製と圧子押込みによる曲げ強度解析
Project/Area Number |
22560094
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
金成 守康 茨城工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (70331981)
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Keywords | 有機半導体 / ナノインデンテーション / 曲げ強度 / 密度 / 弾性率 / 硬さ |
Research Abstract |
本研究の目的は、EL発光、太陽電池、FETトランジスタ機能を有するナノ有機半導体薄膜を等方加圧により高密度化して、その曲げ強度と同時に電気特性の改善を検証することにある。本研究では、等方加圧(CIP)を用いて膜組織・構造の塑性破壊を防止しながらポア(空孔)のみを潰して高密度化することによって、その力学的・電気的特性(曲げ強度・電気伝導度)の改善を試みる。平成22年度は、ガラス基板上に真空蒸着した厚さ約1μmの無水フタロシアニン(H_2Pc)有機半導体薄膜について、アズコート状態と圧力200MPaでCIP処理した2種類の試料を作製して、それらの膜厚と力学特性(ヤング率・硬さ・曲げ強度)をナノインデンテーション試験で測定解析し、力学特性に及ぼす等方加圧の効果を調べた。また、膜内部の圧密状態を間接的に調べるために、原子間力顕微鏡を用いて表面トポグラフィー観察を行った。CIP膜の膜厚および表面凹凸は、それぞれ約40%および50%減少していたことから、膜内部のポアの存在が初めて確認されたとともにCIP処理によってポアが圧潰されたことを明らかにした。また、CIP処理膜の曲げ強度は、26%改善された。これらの研究成果は、有機半導体薄膜の力学特性改善の研究に高いインパクトを与えるとともに、電気特性改善の可能性を強く示唆する。今後は、膜の圧密メカニズムを解明するために、H_2Pc膜が圧密を起こす最適なCIP圧力を調べる。また、H_2Pc膜以外の有機半導体膜についても、同様に最適CIP圧力を調べると共に、比較的高いCIP圧力が必要な場合には、加熱処理を組み合わせたCIP処理を試みる。
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Research Products
(2 results)