2011 Fiscal Year Annual Research Report
等方加圧による高密度ナノ有機半導体薄膜の創製と圧子押込みによる曲げ強度解析
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22560094
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
金成 守康 茨城工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (70331981)
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Keywords | 有機・分子エレクトロニクス / ナノインデンテーション / 曲げ強度 / 密度 / 弾性率 / 硬さ / 等方加圧 |
Research Abstract |
本研究の目的は、EL発光、太陽電池、FETトランジスタ機能を有するナノ有機半導体薄膜を等方加圧により高密度化して、その力学特性の改善を検証することにある。本研究は、等方加圧(CIP)を用いて膜組織・構造の塑性破壊を防止しながらポア(空孔)のみを潰して高密度化することによって、その曲げ強度・弾性率・硬さの改善を試みた。 平成23年度は、これまで得られた研究成果を研究計画に従って積極的に公表した。日本機械学会が共催した国際会議(ICMP2011)において本研究で改良されたナノインデンテーション試験機の性能評価について発表した。応用物理学会が発刊する学術雑誌(Applied Physics Express)および同学会が開催した国内学会において、無水フタロシアニン(H_2Pc)有機半導体薄膜について等方加圧によって膜が高密度化し、かつ、その力学特性が著しく改善された研究結果を発表した。さらに、産業への波及効果の観点から等方加圧により高密度化された低分子有機半導体薄膜の製造方法・積層体について特許出願し権利化を図った。 実験の進展においては、薄膜の高密度化が生ずる加圧力の閾値を明らかにすることが今後の研究を進めて知的財産権を取得する上で重要であることから、H_2Pc薄膜について加圧力と膜厚変化の関係を調べた。その結果、加圧力が30、70、200MPaと増加するに従って膜厚が小さくなり高密度化が進むことが確認されたが、加圧力200MPaにおいて40%高密度化であったのに対して降伏応力54MPa以下の30MPaにおいても30%高密度化されたことから高密度化の発現は加圧力の変化に対して徐々に進行していくことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年3月に発生した東日本大震災において、本研究課題を進める上で最も重要なナノインデンテーション試験機が大きな損傷を受けた。試験機の修理に約6ヵ月の期間を要したため、有機半導体薄膜の弾性率・硬さ測定が遅れた。その一方、論文発表・国内学会発表・知的財産権の獲得を積極的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進展により、研究代表者は、すでに本研究課題内で発明した等方加圧を用いた有機半導体薄膜の製造方法に関して知的財産権を出願した。その権利取得を推進する観点から薄膜の高密度化が生ずる加圧力閾値について当初の研究計画よりも精緻に調べる必要が生じた。また、有機薄膜の高密度化は、加圧雰囲気温度に敏感なことが予想されることから変形挙動への温度変化への影響も同時に調べる必要が生じた。このため、本研究課題の計画を一部変更して、当初予定していた加圧による薄膜の電気特性変化の測定に替えて塑性挙動の解析と雰囲気温度の影響調査を重点的に行うこととする。
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Research Products
(4 results)