2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22560098
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
橋村 真治 久留米工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90290824)
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Keywords | ねじ / 疲労 / 信頼性設計 / ボルト / 機械要素 / ゆるみ / 事故防止 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自動車用ホイールハブボルトや,様々な振動を受ける各種機械構造物の締結部のように,多軸振動(ボルトの軸方向振動と軸直角方向振動)にさらされるボルト締結体に対して,ボルト締結体の諸条件が疲労破壊に与える影響を調査し,多軸振動を受けるボルト締結体の設計手法を確立することです.また,ボルト締結体の安全設計を支援する「ボルト締結体の疲労設計プログラム」を開発することを目標としています.本研究では,初年度の平成22年度に,これまで確立されていなかった「軸直角方向振動を受けるボルト締結体の設計法」を確立しました.平成23年度は,平成22年度内に部品のみ製作した「軸方向振動と軸直角方向振動を同時に受けるボルト締結体の疲労試験装置」の組立・調整を行い,多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験を行う予定でしたが,予備実験において多軸振動の干渉の影響を取り除くことができないことが判明したため,実験装置の設計変更を行いました.したがって,多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験については,当初の予定から若干遅れてしまいました.しかし,装置改良と並行して行っていた「自動車用ホイールナットの形状がハブボルトの疲労強度に及ぼす影響」については,十分な結果を得ることができました.この研究では,自動車用ホイールナットとしてJISに規定されているテーパ座ナットと,ISOに規定されているフランジ座付ナットを用いて,ナット形状がボルトの疲労強度に与える影響を実験とFEM解析により調査しました.その結果,フランジ座付ナットを用いた方がハブボルトの見かけの疲労強度を低下させることが分かりました.平成24年度は,この成果とこれから実施する「多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験」の結果をもとに,多軸振動を受けるボルト締結体の設計手法を確立します.また,「ボルト締結体の疲労設計プログラム」の開発も行う予定です.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実験装置を完成させ,「多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験」を行って,その御疲労特性を明らかにする予定でしたが,実験装置の構造に不具合が見つかり,最終的には実験装置の設計変更,再製作を行いました.そのため,この実験に関しては,若干遅れぎみとなりましたが,その他の実験や解析を総合すると,研究全体としてはおおむね予定通りと判断しています.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,まず昨年度に製作した多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験機を用いて,軸方向振動と軸直角方向振動が同時に作用した場合のボルト締結体の疲労試験を行って,その疲労特性を明らかにするとともに,並行してFEM解析を行うことで理論的裏付けを行います.その後,ボルト締結体の安全設計を可能にするための "ボルト締結体の疲労設計支援プログラム" の開発に着手します. したがって本年度の研究では,まず多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験とそのFEM解析を主体的に進めることになります.本実験装置は,昨年度当初に組立てた装置に不具合をきたしたために,試行錯誤を繰返してほぼ1年間をかけて改良を行いました.それゆえ,今後も若干の修正を行う可能性もあります.したがって本年度の申請物品費は,実験装置の調整と改良および試験片となるボルトの購入と製作充てたいと考えています。また多軸振動を受けるボルト締結体の疲労試験では,ボルト締結体のすべての締結パラメータが疲労強度に及ぼす影響を明らかにしなければなりませんが,まずはM10のボルトのみを用いて,ボルト締結体のグリップ長さ(ボルト座面からナット座面もしくは雌ねじと噛合う第1ねじ部までの締結長さ)が疲労強度に与える影響を中心に調査します.最終的には,「多軸振動を受けるボルト締結体の安全設計指針」の確立,および「ボルト締結体の疲労設計プログラム」の作成まで進めたいと考えています. なお,本研究で得られた結果は,随時学術講演会ならびに学術論文に投稿する予定ですので,旅費,謝金およびその他の経費は,講演会への参加費用と論文作成費用として用いる予定です.また昨年度実施した「自動車用ホイールに用いられるテーパナットを用いたボルト・ナット締結体の疲労試験」については,現在日本機械学会論文集に投稿しています.
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Research Products
(4 results)