2010 Fiscal Year Annual Research Report
極限マルチフィジクス環境における液体ロケットエンジンの破損メカニズムの解明
Project/Area Number |
22560100
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
山西 伸宏 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 研究員 (70450715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西元 美希 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 研究員 (40450704)
吉村 忍 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90201053)
笠原 直人 東京大学, 工学系研究科, 教授 (30421580)
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Keywords | ロケット / 構造工学 / 破損 / マルチフィジクス / 極限環境 |
Research Abstract |
本研究は、液体ロケットエンジン燃焼室の破損メカニズムと影響因子について、マルチフィジクスシミュレーションによって明らかにすることを目的としている。本年度は、マルチフィジクスシミュレーションツールの試作と検証を完了した。まず、エンジン燃焼室における冷却流路内の軸方向温度・圧力・速度分布を過渡的に求める準一次元の流れ解析コードを開発した。本コードでは工業用プラント管路系の解析で実績のあるボリューム・ジャンクション法による定式化を行った。極低温流体(冷却剤)の物性値計算には、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の提供するREFPROP8.0を、高温流体(燃焼ガス)には、アメリカ航空宇宙局(NASA)の公開する化学平衡計算コードCEAを適用した。なお、流体-構造間の熱伝達モデルとして、燃焼ガス-構造表面間に修正Bartz式、冷却剤-構造表面間に修正Taylor式を適用した。次に、開発した流れ解析コードと申請者らが有している大規模並列構造解析コードの連成ツールを開発した。これにより、既存機能である熱・構造双方向連成と合わせて、流体・熱・構造の連成が可能となった。本ツールでは、流れ解析コードと構造解析コードが熱境界条件を互いにフィードバックする双方向連成機能を開発した。連成は、スクリプトによって起動する構造解析コードと流れ解析コードの出力物理量をコンバーターを通じて互いのメッシュにマッピングすることで行った。最後に、開発したツールを燃焼室に大変形が生じた過去のエンジン試験に適用し、検証を行った。これまでの解析では再現できなかった変形の様子を、マルチフィジクスシミュレーションにより再現することに成功し、ローカルな熱流動の影響が重要であることを確認した。次年度、本ツールを破損が発生したエンジン試験に適用し、破損メカニズムの解明を進める。
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